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2012.12.11 Tuesday

2012年アルゼンチン・ツアー その4

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     アルゼンチンの長距離バスは2階建てで、一階に運転席、トイレ、そして1等席があり、2階が一般席になっている。食事は大して期待できないが、ミラネサ(イタリア、アルゼンチンなどでは一般的な薄めのカツ)にスナック類、そしてワインもついてきたのは嬉しい。だが食後トイレから戻った秦野さんが驚くべき事実を目撃したと言うのだ。スチュワーデス(というのか?)が回収したプラスティック食器、ゴミ類を窓から外へ捨てていたというのだ。そこが捨てるべき場所だったのかどうかはわからないが、少なくともゴミ箱に捨ててはいなかったはずだ。いくら広い国土とはいえ、これはいけない。


    そんなことはあったものの、その夜はバスのほとんどフラットなシートでぐっすり寝て、翌日午前無事メンドーサに到着した。ルシアーノが車で迎えに来てくれ、そして彼の家に直行した。


    そこで数日のリハーサル、ラジオ・新聞・TVでのプロモーションを経てアルゼンチンでは6年ぶりのギグを行ったが、その2日目は運悪くサッカー国際試合のアルゼンチン対ウルグアイ戦に重なってしまった。それもここメンドーサで開催されたのだ。当然の如く、動員はかなり厳しかった。6年前にはメンドーサ一番のコンサート・ホールを満員にしたという驕りもあったのだろう、プロモーションもそれほど行き届いたとはいえない状況だったのを後になって悔やんだ。しかし、それよりも痛かったのは、当初「レコ発ライブ」になるはずだったメンドーサ公演に、新作CDが間に合わなかったことだ。結局CDが納品されたのは当初の予定より3週間も遅れてのことだったので、メンドーサ4公演には当然間に合わなかった。仕方なく、「予約カード」なるものを過去のアルバムと一緒に物販に並べ、予約注文を受け付けることでお茶を濁しただけに終わった。

    ネット新聞・ラジオでのプロモーション地元新聞では「ギター怪物」の見出しが!しかし怪物もメッシにはかなわなかった・・・元モデルのパーソナリティーににやける二人サウンドチェック後の一コマ

    さて、今ツアー前半のハイライトはそんなコンサートの合間にやってきた。それはメンドーサ近郊のスラムで演奏するというものだったのだ。


    アルゼンチンには、都心部周辺に貧困層が集まる地域があるというのは聞いていた。そして、そこは決して観光客が足を踏み入れてはならない場所だということも知っていた。よそ者とあらば、観光客はおろか、アルゼンチン人だったとしても生きて帰ってこれるかわからない危険地帯なのだ。


    ゴミの分別・リサイクルのないアルゼンチンでは、都心部から数十キロ離れた辺りに「ゴミ捨て場」を設け、そこに市内のゴミを生ゴミであろうが何だろうが一緒くたにして捨てている。そこに金に換えれるものを集めにやって来た人々が住みつき、スラム街が出来上がっていったらしい。人口は日本の半分以下だが国土面積は7.5倍だから、人口密度は単純に考えると日本の15分の1以下というわけだ。だからこれまでゴミをどこへ捨ててもやっていけたということなのだろう。しかしそれも限界が見えたのか、数年前メンドーサでゴミを分別しリサイクルしようというプロジェクトが立ち上がった。ということは、スラムに住みつく人々の収入減を絶ってしまうことになるので、不定期的に会合が持たれ、彼らへの仕事の斡旋・子供たちの遊び場(サッカー場)建設などがこれまでに行われてきたという。そこで我々にも何かできないかと話が回ってきたというわけだ。


    当日はお役所のバックアップがあるとはいえ、何が起きてもおかしくないので、財布

    、クレジット・カード、カメラはもちろんのこと、携帯電話、そしてパスポートすら持たずに現場に向かった。


    環境省の大臣(?)からトヨタのハイラックス4WDを借り、現地へ向かった。そして現場周辺地域に入るや、既に市内に比べてかなり貧しい地域であるのがすぐにわかったが、いざ現場に入るとそこですら充分豊かだったことを思い知った。


    数年前、エミール・クストリッツァ監督による映画「マラドーナ」が公開されたが、そこは正に映画に出てきたマラドーナの育った地域そのものだった。勝手に人が住みつき、また子供が生まれるから当然戸籍も住民票もない。ただの無法地帯(ゴミ捨て場)なのだ。


    ハイラックスを降りると生ゴミの腐敗臭が鼻をつき、辺り一帯ゴミの山でもあり、ゴミを捨てるために掘ったと思われる巨大な穴だらけでもある。ハエが飛び回り、流れ着いたと思しき野良犬がたむろする。こんな状況でまともに演奏できるのだろうかと危惧したが、数十分もすると慣れたのか臭いも気にならなくなった。それはいかに人間が環境に適応できるかを痛切に感じた瞬間だった。


    「コンサート会場」には、既に子供達とその母親達が集まっていた。無法地帯だと聞かされていたが、それに反して子供達の純真無垢さに驚いた。我々のレパートリー数曲を演奏し、さらに子供達も参加できるようにアルゼンチン(南米)特有の2:3のポリリズムを手拍子で参加してもらったりした。嬉しかったのは、子供達が我々の演奏に夢中になり(もしかしたら日本人2人が宇宙人にでも見えたのか?)、ある子供は「私も練習して絶対うまく弾けるようになってみせる!」と言っていたことだ。

    そうは言っても、メンドーサの取り組みに前途多難なのは明らかである。当日姿を見せたのは13歳以下の子供達とその母親達だけであり、男連中は一切現れなかった。車でやってくる途中、ところどころでヒップホップ等を大音量で鳴らし、柵の向こうにいる気配だけ振りまいていた彼らだったが、最後まで姿を見せることはなかった。自分達にとっては本当に貴重な体験だったが、彼らにとってはどうだったのかわからない。

    おそるおそる現場に向かう秦野氏のハイテク日本製チューナーに皆夢中終演後の記念撮影(張り切る右側日本人)現場外で記念撮影

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