2014.09.30 Tuesday
ケイト・ブッシュ Before The Dawn @Eventim Hammersmith London 2014.09.16
ケイト・ブッシュが35年ぶりにライブをやると聞いたのは今年の初め頃だったろうか。しかもロンドン、ハマースミスのイヴェンティン・アポロ1ヶ所で20公演ほどやると言うので驚いた。その翌日だったか、ケイト・ブッシュのウェブ会員向けにチケット先行販売を行う旨のメールが届いた。その時は9月と言えばアルゼンチン行きを控えているし、さらに別件で海外渡航の可能性もあったので、まず無理だろうと思った。
そんなことをすっかり忘れていたのだが、ある日ふと時計を見やって、英国時間の今頃ちょうど先行販売が始まっているということを思い出し、そしてこう思った。「もしも行けることになったら、チケットをあの時にとっておけばよかったと一生後悔するのではないだろうか・・・。」そのチケットというのは転売が禁止されており、その為チケットには名前が印刷され、会場入口で写真入りの身分証を見せる必要があった。だから行けなくなったらチケット代は丸々損することになるのだが、これはとれるものならとってしまおうと決心したのだった。

かくしてチケットをとったのだが、その後あっという間に全公演分が売り切れたらしく、後日追加公演まで出る有様だった。こうなったら何としても行きたいと思うようになった。6月に入り、アルゼンチン行きがキャンセルになり、別件もほぼ無いことが確定したので、すかさずロンドン行きの便を手配したのだった。かくしてロンドンまで、たった1本のコンサートの為に旅することとなった。

さて、万全を期してコンサート2日前にロンドン入りしたので、当日まで思い出巡りにレコード屋巡り、そして開催中のケイト写真展やらに足を運んで過ごした。そしていよいよ当日の夕方がやって来た。

開場は18時15分だったが30分前には現地に到着した。なにせ会場のイヴェンティン・アポロは毎回自分が投宿しているアールズ・コートからは地下鉄1本プラス徒歩10分で行ける場所なのだ。現場に着くと、開場30分前というのに既に行列ができていた。早く行ったからといって良い席に座れるわけではないのにどうしたことだろう。
しかし入場してその理由が分かった。Tシャツやらパンフレットを売る売店には長蛇の列…否、黒山の人だかりで近づくことすらできないのだ。さらにはバーカウンターが出ていて、みんなビールやらワインやらガンガン飲んでいる。自分もそこに並んで喉を潤したい欲求にかられたが、ここで飲んでは本番最中にトイレに立ってしまうだろうと思いとどまった。
自分の席は1階後方ではあるものの、顔を動かさずにステージ全体が見られるので良席と言える(この会場はキャパで言うと元「大阪厚生年金会館大ホール」程度だろう)。早めに席に着きパンフレットに目を通しながら開演を待つことにした。

さて、開演時刻になり照明が落ちると、バンドメンバーとバックシンガーが登場、そして最後にケイト本人が現れた。割れんばかりの拍手にこちらもひるんだが、負けじと拍手した。それにしても今回の公演は全部で22回、しかもチケットは全て完売とのことだが、一体どこにこれだけの人間がいたのだろう。狂気としか思えない(自分も飛行機に乗ってまで駆けつけたのだから狂気を通り越した大馬鹿者であるが・・・)。
そしていよいよ待ちに待った演奏が始まった。馴染みのゲイブリエル・バンドのギタリストであるデイヴィッド・ローズやらドラムのオマー・ハキムやらもいるのだが、ケイトが登場するとそのオーラで霞んでしまう。驚いたのは息子のアルバートもバッキング・シンガーの一員として参加していることだ。残念ながらその容姿までは良く見えなかった。
さて最初に6曲普通に演奏(Hounds of Love、Running Up That Hillといった5thアルバムからの楽曲も披露)した後、突如音響もサラウンドに切り替わった。そして始まったのがAnd Dream of Sheepである。そう、そうして何とHounds of LoveのB面Ninth Waveを芝居・映像まじえての全曲演奏となったのだ。自分にとってのハイライトはJig of Lifeだったが、アルバムの中では唯一ピンとこなかった曲であるThe Morning Fogもアコーディオン、ギターなどアコースティック・アレンジがなされ、原曲よりもぐっと良くなっていた。
そして20分の休憩を挟み、今度はAerialのディスク2のA Sky of Honey全曲演奏である。人形使いも登場、そして息子であるアルバートは画家の役も担い、ストーリーに沿った芝居が繰り広げられる。
彼女の楽曲で歌詞を聴いたり読んだりしても、実際それが何を意味しているのか分からかったりするが、映像を伴うと初めてこうだったのかと納得させられることが多い。今回のステージではこれまで映像化されていなかったNinth Waveに加えてA Sky of Honeyをやってくれたので、実際こういうことを表現したかったのかと新鮮だった。演出上面白かったのは、最新鋭の舞台設備と昔ながらの人力効果の両方をミックスしていたところである。波を表現するのに人力で布をはためかしたと思いきや、レーザー・ビームや様々な照明〜映像効果、そして音と映像の同期など、彼女が1979年のツアーでは不可能だったことも積極的に採り入れていたことだ。
アンコールではピアノ弾き語りでAmong Angelsをやった後バンドを呼び込み、Cloudbustingで大団円。フェアライトでのサンプリング4部刻みストリングスは、デイヴィッド・ローズのエレクトリック・ギターによるカッティングが重ねられたライブ向きのアレンジだった。




ビデオでしか体験できない伝説の79年ツアーでは、彼女はパントマイムやクラシック・バレエも採り入れて全身で表現するいわば「踊り語り」だった。歳を重ねた今、それは無理だったのだろうが、様々なアイディアが盛り込まれ、コンサート〜芝居〜ミュージカルといった要素を重ね合わせた彼女ならではの素晴らしいパフォーマンスだった。
そんなことをすっかり忘れていたのだが、ある日ふと時計を見やって、英国時間の今頃ちょうど先行販売が始まっているということを思い出し、そしてこう思った。「もしも行けることになったら、チケットをあの時にとっておけばよかったと一生後悔するのではないだろうか・・・。」そのチケットというのは転売が禁止されており、その為チケットには名前が印刷され、会場入口で写真入りの身分証を見せる必要があった。だから行けなくなったらチケット代は丸々損することになるのだが、これはとれるものならとってしまおうと決心したのだった。

かくしてチケットをとったのだが、その後あっという間に全公演分が売り切れたらしく、後日追加公演まで出る有様だった。こうなったら何としても行きたいと思うようになった。6月に入り、アルゼンチン行きがキャンセルになり、別件もほぼ無いことが確定したので、すかさずロンドン行きの便を手配したのだった。かくしてロンドンまで、たった1本のコンサートの為に旅することとなった。

さて、万全を期してコンサート2日前にロンドン入りしたので、当日まで思い出巡りにレコード屋巡り、そして開催中のケイト写真展やらに足を運んで過ごした。そしていよいよ当日の夕方がやって来た。

開場は18時15分だったが30分前には現地に到着した。なにせ会場のイヴェンティン・アポロは毎回自分が投宿しているアールズ・コートからは地下鉄1本プラス徒歩10分で行ける場所なのだ。現場に着くと、開場30分前というのに既に行列ができていた。早く行ったからといって良い席に座れるわけではないのにどうしたことだろう。
しかし入場してその理由が分かった。Tシャツやらパンフレットを売る売店には長蛇の列…否、黒山の人だかりで近づくことすらできないのだ。さらにはバーカウンターが出ていて、みんなビールやらワインやらガンガン飲んでいる。自分もそこに並んで喉を潤したい欲求にかられたが、ここで飲んでは本番最中にトイレに立ってしまうだろうと思いとどまった。
自分の席は1階後方ではあるものの、顔を動かさずにステージ全体が見られるので良席と言える(この会場はキャパで言うと元「大阪厚生年金会館大ホール」程度だろう)。早めに席に着きパンフレットに目を通しながら開演を待つことにした。

さて、開演時刻になり照明が落ちると、バンドメンバーとバックシンガーが登場、そして最後にケイト本人が現れた。割れんばかりの拍手にこちらもひるんだが、負けじと拍手した。それにしても今回の公演は全部で22回、しかもチケットは全て完売とのことだが、一体どこにこれだけの人間がいたのだろう。狂気としか思えない(自分も飛行機に乗ってまで駆けつけたのだから狂気を通り越した大馬鹿者であるが・・・)。
そしていよいよ待ちに待った演奏が始まった。馴染みのゲイブリエル・バンドのギタリストであるデイヴィッド・ローズやらドラムのオマー・ハキムやらもいるのだが、ケイトが登場するとそのオーラで霞んでしまう。驚いたのは息子のアルバートもバッキング・シンガーの一員として参加していることだ。残念ながらその容姿までは良く見えなかった。
さて最初に6曲普通に演奏(Hounds of Love、Running Up That Hillといった5thアルバムからの楽曲も披露)した後、突如音響もサラウンドに切り替わった。そして始まったのがAnd Dream of Sheepである。そう、そうして何とHounds of LoveのB面Ninth Waveを芝居・映像まじえての全曲演奏となったのだ。自分にとってのハイライトはJig of Lifeだったが、アルバムの中では唯一ピンとこなかった曲であるThe Morning Fogもアコーディオン、ギターなどアコースティック・アレンジがなされ、原曲よりもぐっと良くなっていた。
そして20分の休憩を挟み、今度はAerialのディスク2のA Sky of Honey全曲演奏である。人形使いも登場、そして息子であるアルバートは画家の役も担い、ストーリーに沿った芝居が繰り広げられる。
彼女の楽曲で歌詞を聴いたり読んだりしても、実際それが何を意味しているのか分からかったりするが、映像を伴うと初めてこうだったのかと納得させられることが多い。今回のステージではこれまで映像化されていなかったNinth Waveに加えてA Sky of Honeyをやってくれたので、実際こういうことを表現したかったのかと新鮮だった。演出上面白かったのは、最新鋭の舞台設備と昔ながらの人力効果の両方をミックスしていたところである。波を表現するのに人力で布をはためかしたと思いきや、レーザー・ビームや様々な照明〜映像効果、そして音と映像の同期など、彼女が1979年のツアーでは不可能だったことも積極的に採り入れていたことだ。
アンコールではピアノ弾き語りでAmong Angelsをやった後バンドを呼び込み、Cloudbustingで大団円。フェアライトでのサンプリング4部刻みストリングスは、デイヴィッド・ローズのエレクトリック・ギターによるカッティングが重ねられたライブ向きのアレンジだった。




ビデオでしか体験できない伝説の79年ツアーでは、彼女はパントマイムやクラシック・バレエも採り入れて全身で表現するいわば「踊り語り」だった。歳を重ねた今、それは無理だったのだろうが、様々なアイディアが盛り込まれ、コンサート〜芝居〜ミュージカルといった要素を重ね合わせた彼女ならではの素晴らしいパフォーマンスだった。
JUGEMテーマ:LIVE! LIVE! LIVE!
- コメント
- これはもう行くべくして行った、行く宿命にあったとでも…(^-^)
-
- なざ美
- 2014.10.09 Thursday 15:18
- なざ美さん
毎回そんな言い訳しながら好き放題やってます。コンサートは撮影していたみたいなので、いずれDVD/ブルーレイも出るのではないかと楽しみにしています。 -
- shinkuro
- 2014.10.09 Thursday 16:20
- はじめまして!自分も昨年、現地で2公演観ることが出来、感動しましたー!もう一年が経つんですね・・・。
ちなみに、同じようにレビューを書かれている方々のブログへのリンク集を勝手ながら上記URL先にまとめてみましたので、よければご確認ください〜 -
- music bar Gaffa
- 2015.09.13 Sunday 22:48
- すみません、URLは私の投稿者名 music bar Gaffaにリンクがついてます・・・。
-
- music bar Gaffa
- 2015.09.13 Sunday 22:52
- Gaffaさん
コメントありがとうございます。2回も見られたとは羨ましい。ケイトにはまたコンサートをやってくれることを願うばかりです。
リンクもチェックしますね。 -
- Shinkuro
- 2015.09.14 Monday 16:21
- コメントする
- この記事のトラックバックURL
- トラックバック
- Calendar
-
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
- ギター・レッスン生徒募集
-
大阪市西区にてギター・レッスンしています。
●レギュラー・チューニング
●ギター・クラフト・チューニング
入会金5000円
■45分x月3回コース:月謝8000円
■45分単発レッスン:3000円
出張レッスンも承ります
(出張費別途要)お申込・お問合わせ:
lesson@shinkuromatsuura.com
- ギター名演
- 松浦眞九郎参加作品
- All Time Favorites
- @shinkurom からのツイート
- Selected Entries
- Categories
-
- レコード、CDレヴュー (14)
- 映画・DVDレヴュー (5)
- ライブ情報 (42)
- ギタリスト数珠繋ぎ (17)
- コラム (45)
- 旅行記 (12)
- ギター名演 (2)
- 日記 (1)
- ギグ/コンサート鑑賞記 (14)
- 機材レビュー (1)
- ZUM (3)
- Archives
-
- February 2019 (1)
- November 2018 (2)
- September 2018 (1)
- August 2018 (1)
- July 2018 (2)
- June 2018 (1)
- May 2018 (1)
- April 2018 (2)
- March 2018 (1)
- January 2018 (1)
- December 2017 (2)
- September 2017 (2)
- August 2017 (1)
- June 2017 (2)
- May 2017 (1)
- April 2017 (1)
- March 2017 (1)
- February 2017 (1)
- January 2017 (1)
- December 2016 (2)
- November 2016 (4)
- September 2016 (2)
- August 2016 (2)
- July 2016 (3)
- June 2016 (1)
- May 2016 (3)
- April 2016 (2)
- March 2016 (2)
- February 2016 (2)
- January 2016 (3)
- December 2015 (1)
- November 2015 (3)
- October 2015 (1)
- September 2015 (2)
- August 2015 (2)
- July 2015 (2)
- June 2015 (3)
- May 2015 (3)
- April 2015 (2)
- March 2015 (5)
- February 2015 (2)
- January 2015 (2)
- December 2014 (2)
- November 2014 (1)
- October 2014 (2)
- September 2014 (2)
- August 2014 (2)
- July 2014 (2)
- June 2014 (2)
- May 2014 (1)
- April 2014 (4)
- March 2014 (3)
- February 2014 (1)
- January 2014 (3)
- December 2013 (2)
- November 2013 (4)
- October 2013 (3)
- September 2013 (1)
- August 2013 (5)
- July 2013 (3)
- June 2013 (2)
- May 2013 (4)
- April 2013 (2)
- March 2013 (3)
- February 2013 (1)
- January 2013 (3)
- December 2012 (2)
- November 2012 (4)
- September 2012 (1)
- July 2012 (2)
- June 2012 (2)
- November 2011 (1)
- February 2011 (1)
- August 2010 (1)
- April 2010 (1)
- October 2009 (1)
- May 2009 (1)
- February 2009 (1)
- August 2008 (1)
- February 2008 (1)
- Recent Comment
-
- 新プロジェクト始動!
⇒ shinkuro (01/28) - 新プロジェクト始動!
⇒ なざ美 (01/28) - マリナ・ファヘス+ZUM ジャパン・ツアー2017
⇒ 橋本匠 (12/10) - 2017年9月・10月のライブ
⇒ Shinkuro (08/05) - 2017年9月・10月のライブ
⇒ なざ美 (08/04) - 2017年5月のライブ
⇒ Shinkuro (06/14) - 2017年5月のライブ
⇒ リエ (06/14) - 2017年5月のライブ
⇒ Shinkuro (06/14) - 2017年5月のライブ
⇒ リエ (06/14) - 2017年5月のライブ
⇒ shinkuro (05/07)
- 新プロジェクト始動!
- Recommend
-
Elixir エリクサー アコースティックギター弦 #16052 NANOWEB PhosphorBronze Light .012-.053 (JUGEMレビュー »)
コーティング弦を使い始めたらもう戻れなくなった。通常の弦なら、弾かなくてもしばらくすると死んでしまうが、これなら安心。
- Recommend
- Profile
- Search this site.
- Mobile
-