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2013.07.28 Sunday

ジェフ・ベック

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    その昔、誰か(確か渋谷陽一だったと思う)がこう言った。「バンドのギタリストのソロ・アルバムが最も注目を集める。」今では状況も異なるが、当時は確かにロック・バンドでギタリストは花形であり、楽曲の多くを提供していることも多かったからだろう。しかし自分はあえてこれに付け加えたい。

    「最も退屈なのは、バンドのギタリストのソロ・アルバムであることが多い。」

    注目していた優秀なギタリストがいざソロ・アルバムを出すと、大抵の場合がっかりさせられる。ギター演奏自体は素晴らしいのだが、楽曲がショボかったりコンセプトが絞り込めていなかったりして、何度も聴こうという気にはなれないのだ。

    しかし、その数少ない例外の一人がジェフ・ベックである。

    最初に聴いた時には既にソロで「ブロウ・バイ・ブロウ」、「ワイアード」とヒット作を連発した後だったが、実のところ当時中2だった自分にとっては「ブロウ・バイ・ブロウ」ですら、イージー・リスニングかと思ったほどだ。

    本当にのめり込んだのは、その後に聴いたBBAの「ライブ・イン・ジャパン」、そして第2期ジェフ・ベック・グループの「ラフ・アンド・レディ」を聴いてからのことだった。BBAライブでの生々しいギター、そして「ラフ・アンド・レディ」は71年という時代を全く感じさせない新しい感覚に驚かされた。

    それから随分経って、実はジェフ・ベックはほとんど自分一人では作曲ができないということがわかってきた。ちょっとしたリフを提供したりはするが、マックス・ミドルトンやトニー・ハイマスといったパートナーがいないと最終形まで完成できないのだ。優れた作曲家/パートナーに「こんな感じの音楽をやりたい。」と伝え、そしてそれを具体化するプロデューサーを雇い、自分はプレイヤーに徹する。その開き直りが成功の秘密に違いない。だからブルース・ロック/ハード・ロックな第一期JBG、ファンキーでソウルフルな第二期JBG、ソロになってからのクロスオーバー路線、20世紀末から21世紀初頭にかけてのテクノ/サイバー路線など、その度にキーとなるパートナーが必ず存在する。

    そういうわけで心置きなく自分のギターに集中ができるのだ。

    歳をとるにつれ、もちろん表現力は増しているが、さらには常に新しい「必殺技」を生み出していく。基本的なテクニック面で上達するということはないが、誰もやっていないようなことに次々とチャレンジしていくのだ。

    1. トリッキーかつスリリング:今のは何だ?と驚かせるのが好きなのだろう。ヤードバーズ時代から、開放弦を混ぜたトリルや、ピックアップに弦を押し当ててフレットよりも上の音程を出してみたり、突然すかしてみたりとあの手この手で揺さぶってくる。

    2. 親指と人差し指によるロカビリー/カントリー奏法:BBAライブでの「ジェフズ・ブギー」終盤に登場するのが、この奏法による典型例「じゃじゃ馬億万長者」のテーマだ。第一期JBG時代から同じようにメドレーでやっていたようだが、BBAではテンポもグッと速くなっている。

    3. 正確な音程:ベンド(チョーキング)で正確な音程を維持するにはある程度慣れが必要だが、「哀しみの恋人達」等では、一旦ベンドしておいてさらにもう一段階ベンドする。これはその後、スライド、アームにも応用されるようになる。「ギター・ショップ」でアームによる微妙な音程コントロール技を聴いた時は衝撃だった。
      

    しかし、これらの必殺技よりももっと凄いのは、ギターがどんどん唄うようになってきた事だ。フラット・ピック→サム・ピック→指メインと変遷するにつれ、どんどん肉声に近づいてきた。否、本当はこういう風に唄いたかったに違いないと思わせるほどである。だからベンドやらビブラートやらも、あくまでも声の一部であり、それがチョーキングであったり、スライド・バーであったり、トレモロ・アームであったりするが、本人にとってはその音さえ出ればどれでも良い事なのだろう。同じ“歌えないギタリスト”としてその気持ちが痛いほどよくわかる。


    これが71年か?と79年の自分には衝撃だった


    大阪厚生年金でのライブ。あまりの生々しさにぶっ飛んだ。


    いつもながら奴はライブで本領を発揮する。


    2000年前後のデジタル3部作の2作目。前作と甲乙つけがたい。


    そしてレス・ポール所縁のクラブでのライブ。映像版が楽しい。


    JUGEMテーマ:ROCK


    コメント
     ベック氏、曲がかけない‥それは氏が歌った(!) "Hi-Ho Silverlining"でなんとなく予感はしていました。
    • なざ美
    • 2013.08.01 Thursday 17:23
    Black Cat Moanといい、Hi-Ho Silverlining といい歌手としてはキビシイですね。それでもARMSコンサートでのライブに比べたら、スタジオで録音されたものはまだマシなくらいです。
     ギターは巧みなのにメロディセンスがない!それを暴露してどうするかと思いますが「歌いたかった」のでしょうか?こりゃ正にJ.ベック氏にとって「歌」は黒歴史かと(笑)
    • なざ美
    • 2013.08.01 Thursday 21:04
    ギター・インストであるブロウ・バイ・ブロウがヒットしてなかったら、一体どうなってたんでしょうね。歌唱力を鍛えたのか、それとも消えてしまっていたのか、興味深くもあります。
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