2018.11.20 Tuesday
スティーブン・ウィルソン東京公演2018年11月5日
スティーブン・ウィルソンがソロとしては初の来日公演を行い、自分はその初日のみ参加してきた。

今から十数年前、ポーキュパイン・トゥリーを率いて来日、Zepp大阪にもやってきたのだが、ロバート・フリップを「前座」につけたにもかかわらず、動員は惨憺たるものだった。だから今回も完売していないと聞き、他人事ながら心配していたのだが、満席ではなかったものの、9割は埋まっていたように思う。
さて、定刻の19時きっかりに客電が暗転し、短い映画が流された。家族、愛情、科学、父親、虚構、政治、憎しみ、宗教、敵、といったキャプションと共に、それを想起させるような画像がゆっくりと切り替わってゆく。しかしそれが一巡すると、画像とキャプションの組み合わせが変わり、次第に速度を速めてゆく。物事は視点が変わると全く異なるというメッセージなのだろうか。
その後メンバー達が登場し、いよいよオープニング曲『ノーウェア・ナウ』が始まった。
ほぼ全編にわたり同期を使用しているようで、曲によっては映像を流したり、また『パライア』においては、今回不参加のニネット・タイヤブが映像でスティーブンとデュエットしたりもした。
最新作から2曲続いた後、「次は私の長年に渡るキャリアから、ずっとずっと昔に戻って…『ハンド・キャノット・イレイス』(前作、といっても3年前だが…)から『ホーム・インベイジョン』。」真面目な顔でジョークを言うところは英国人らしいと言うべきか。そしてスティーブンはギターからベースに持ち替え、ユニゾンのリフを掻き鳴らす。
さて、こんな具合に完璧なパフォーマンスが繰り広げられていく(途中、歌詞を忘れてやり直す場面もあったが…)のだが、ポーキュパイン・トゥリーで見た時とは違って、結構今回はよく喋る。それもジョークっぽいものが多い。
記憶を頼りにいくつか挙げてみると
「この中で25歳以下の人はいるかな?え〜っと…5人くらいか…。そんな君たちに教えよう。これは(自分の肩から下げているギターを指して)エレキ・ギターって言うんだ。多分知らないだろう?でも前世紀の後半にはとても人気があったんだ。若い君達はギターなんて興味ないだろう。まあ、僕もそれほど執着してないんだが…。」
「で、これはテレキャスターって言う1963年製のギターだ。これまでに所有した中で最も美しいギターだ。これまでにジョー・ストラマー、(もう一人か二人挙げたが失念)、ブルース・スプリングスティーンらが弾いてきた(タイプの)ギターだ。」
「ヘヴィな音が欲しい時はたっぷりのディストーションが必要だ。だがテレキャスのサウンドは怒れる音なんだ。試しにペダルを全部オフにして弾いてみせよう(と言って、マーシャル直のテレキャスでカッティングして聞かせる)。そして次の曲はこのギターで作った曲だ。」と言って『ピープル・フー・イート・ダークネス』を始めた。
「ポップって言えば何だ?ジャスティン・ビーバー?クズ…?他にどんなアーチストがいる?カーペンターズ?うん、他は?ビートルズ?なるほど、でもそれはロックバンドとも言う。…アバ?そう、それは世界で2番目に好きなグループだ。他にもマイケル・ジャクソン、プリンス、(その他多数の例を挙げる)素晴らしいアーチストが沢山いる。でも僕がポップをやるって言ったら、問題があるって人たちが沢山いるんだ。」「アバが好きだって昔からいつも言ってきたのに、そんな人達はわかってないな。」
「さて、日本でコンサートやるって言ったら、みんなこう言うんだ。『お客さんはみんな静かで落ち着いている。でもそれは演者に敬意を払っているからだ。』確かにそうかもしれない。でも、これはロックンロールのコンサートだから、反応も欲しいんだ。だから、キング・クリムゾンやジェネシスのコンサートでは絶対に誰もやらないようなことをやってみよう。そう、立ち上がって…そして踊ってみよう。無理なら、まずは足踏みだ。」と最新作から最もポップな『パーマネイティング』。
といった具合だ。
またある時は観客が着ているTシャツを指しては、「おっ、それは〇〇の●△だな。」とか、「それは北欧の◇●の▲□っていう、かなりマニアックでヤバいバンドだな。なかなかやるなキミっ!」とオタク全開な場面も。
最後には「明日もまた来る人は手を上げて。…ほとんど全員だな。…よし、わかった、明日は今日とは全く違うセットリストでやる事にしよう!」と言ったのだ。
実のところ自分は元々二日間とも行くつもりでチケットを取っていたにもかかわらず、途中で気が変わり、行かないことにしたのだ。翌日夕方には仕事を入れてしまっていたので、当然帰りの便も手配済みだった。
あとから翌日のセットリストをチェックしてみると、初日は数曲しかやらなかった『ハンド・キャノット・イレイス』から大量にやっているではないか!なんとバカなことをしてしまったものだ。
そしてコンサートから十日経った昨日、ロイヤル・アルバート・ホールで行われたライブを映像化した『ホーム・インベイジョン』が届いた。次の休みには、これで気を紛らわすことにしよう。


日本公演初日セットはこのDVD・ブルーレイに近い


今のところ最新作で東京初日ではここから最も多く演奏


もっとも好きなアルバム。東京二日目はここから7曲もやったらしい


今から十数年前、ポーキュパイン・トゥリーを率いて来日、Zepp大阪にもやってきたのだが、ロバート・フリップを「前座」につけたにもかかわらず、動員は惨憺たるものだった。だから今回も完売していないと聞き、他人事ながら心配していたのだが、満席ではなかったものの、9割は埋まっていたように思う。
さて、定刻の19時きっかりに客電が暗転し、短い映画が流された。家族、愛情、科学、父親、虚構、政治、憎しみ、宗教、敵、といったキャプションと共に、それを想起させるような画像がゆっくりと切り替わってゆく。しかしそれが一巡すると、画像とキャプションの組み合わせが変わり、次第に速度を速めてゆく。物事は視点が変わると全く異なるというメッセージなのだろうか。
その後メンバー達が登場し、いよいよオープニング曲『ノーウェア・ナウ』が始まった。
ほぼ全編にわたり同期を使用しているようで、曲によっては映像を流したり、また『パライア』においては、今回不参加のニネット・タイヤブが映像でスティーブンとデュエットしたりもした。
最新作から2曲続いた後、「次は私の長年に渡るキャリアから、ずっとずっと昔に戻って…『ハンド・キャノット・イレイス』(前作、といっても3年前だが…)から『ホーム・インベイジョン』。」真面目な顔でジョークを言うところは英国人らしいと言うべきか。そしてスティーブンはギターからベースに持ち替え、ユニゾンのリフを掻き鳴らす。
さて、こんな具合に完璧なパフォーマンスが繰り広げられていく(途中、歌詞を忘れてやり直す場面もあったが…)のだが、ポーキュパイン・トゥリーで見た時とは違って、結構今回はよく喋る。それもジョークっぽいものが多い。
記憶を頼りにいくつか挙げてみると
「この中で25歳以下の人はいるかな?え〜っと…5人くらいか…。そんな君たちに教えよう。これは(自分の肩から下げているギターを指して)エレキ・ギターって言うんだ。多分知らないだろう?でも前世紀の後半にはとても人気があったんだ。若い君達はギターなんて興味ないだろう。まあ、僕もそれほど執着してないんだが…。」
「で、これはテレキャスターって言う1963年製のギターだ。これまでに所有した中で最も美しいギターだ。これまでにジョー・ストラマー、(もう一人か二人挙げたが失念)、ブルース・スプリングスティーンらが弾いてきた(タイプの)ギターだ。」
「ヘヴィな音が欲しい時はたっぷりのディストーションが必要だ。だがテレキャスのサウンドは怒れる音なんだ。試しにペダルを全部オフにして弾いてみせよう(と言って、マーシャル直のテレキャスでカッティングして聞かせる)。そして次の曲はこのギターで作った曲だ。」と言って『ピープル・フー・イート・ダークネス』を始めた。
「ポップって言えば何だ?ジャスティン・ビーバー?クズ…?他にどんなアーチストがいる?カーペンターズ?うん、他は?ビートルズ?なるほど、でもそれはロックバンドとも言う。…アバ?そう、それは世界で2番目に好きなグループだ。他にもマイケル・ジャクソン、プリンス、(その他多数の例を挙げる)素晴らしいアーチストが沢山いる。でも僕がポップをやるって言ったら、問題があるって人たちが沢山いるんだ。」「アバが好きだって昔からいつも言ってきたのに、そんな人達はわかってないな。」
「さて、日本でコンサートやるって言ったら、みんなこう言うんだ。『お客さんはみんな静かで落ち着いている。でもそれは演者に敬意を払っているからだ。』確かにそうかもしれない。でも、これはロックンロールのコンサートだから、反応も欲しいんだ。だから、キング・クリムゾンやジェネシスのコンサートでは絶対に誰もやらないようなことをやってみよう。そう、立ち上がって…そして踊ってみよう。無理なら、まずは足踏みだ。」と最新作から最もポップな『パーマネイティング』。
といった具合だ。
またある時は観客が着ているTシャツを指しては、「おっ、それは〇〇の●△だな。」とか、「それは北欧の◇●の▲□っていう、かなりマニアックでヤバいバンドだな。なかなかやるなキミっ!」とオタク全開な場面も。
最後には「明日もまた来る人は手を上げて。…ほとんど全員だな。…よし、わかった、明日は今日とは全く違うセットリストでやる事にしよう!」と言ったのだ。
実のところ自分は元々二日間とも行くつもりでチケットを取っていたにもかかわらず、途中で気が変わり、行かないことにしたのだ。翌日夕方には仕事を入れてしまっていたので、当然帰りの便も手配済みだった。
あとから翌日のセットリストをチェックしてみると、初日は数曲しかやらなかった『ハンド・キャノット・イレイス』から大量にやっているではないか!なんとバカなことをしてしまったものだ。
そしてコンサートから十日経った昨日、ロイヤル・アルバート・ホールで行われたライブを映像化した『ホーム・インベイジョン』が届いた。次の休みには、これで気を紛らわすことにしよう。
日本公演初日セットはこのDVD・ブルーレイに近い
今のところ最新作で東京初日ではここから最も多く演奏
もっとも好きなアルバム。東京二日目はここから7曲もやったらしい
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