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2015.12.11 Friday

キング・クリムゾン 2015年12月7日 渋谷オーチャード・ホール

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    ロバートがキング・クリムゾンを復活させ、ツアーをすると発表したのは一昨年のことだった。しかもドラマー3人という驚きの編成なのだ。それが昨年の米国ツアー、今秋の欧州ツアーに続き、遂に日本にもやってきた。

    座席はPA卓すぐ後ろという絶好の位置。そのPA卓の横には、一世を風靡したギター・エフェクター、PODが置かれてあるのが気になった。同行のギター・クラフト・ピック・メーカーI氏と顔を見合わせて、一体何に使うのかと不思議に思った。

    さて、場内にはお約束、本日限定サウンドスケープが流れている。ロバートはいつもサウンドチェックの最後に、その日の客入れBGMを即興で演奏して、そのままループさせて流すのだ。

    開演時刻を15分程過ぎて客電が落とされた。と、どこかで聞いた事のある音が…。そう、「アイランズ」最後に隠しトラックとして収録されている、オーケストラとのリハーサル音だ。それに乗せてメル・コリンズ中心の即興演奏が始まる。続いてロバートが何やら刻み出す。「太陽と戦慄パート1」のイントロだ。昨年のセットリストを見て、この曲が30年振りに演奏されているのを知ってはいたが、高まる興奮を抑えることができない。

    その後も、全ての封印を解くかのように、過去のラインアップでは演奏されなかった69〜74年の楽曲が続々と登場する。

    しかし何と言っても圧巻なのは、ドラム3台という前代未聞の編成だ。昨年のライブ音源を聴いた時は、正直その意味もわからなかった。しかし、それは生で体験して初めてその良さがわかると実感した。例えばマステロットが8分で、ハリソンは付点4分で刻み、その間にリーフリンは別の事をしてみたり、フレーズを3人で回してみたり、はたまたユニゾンでキメてみたりと、あらゆる手を使ってくるのだ。90年代クリムゾンのツイン・ドラムよりはるかに整理され、考え抜かれたアンサンブルだ。

    これは中盤で演奏された新曲〜2000年代クリムゾンの楽曲で真価を発揮していると感じられた。「コンストラクション・オブ・ライト」も「レベル5」も、数段スリリングで格好良い。

    今回のクリムゾンから新たに加わったドラマーのビル・リーフリンは、ほとんどのメロトロン・パートも弾き、キーボード奏者としても大活躍だったが、実はギターも弾くマルチ・プレーヤーなのだ。彼はこれまでにミニストリー、ナイン・インチ・ネイルズ、REMなどにも関わってきたが、ギター・クラフトにもずっと参加している。因みに彼は数年前、ロバート・フリップ&オーケストラ・オブ・クラフティ・ギタリスツのイタリアでのライブで「21世紀の精神異常者」をやった際、グレッグ・レイク版のベース・パートを完コピしてきていた。

    そしてコンサート本編ラストは「スターレス」だ。昨年のライブ音源を聴いた時、実はそれ程ときめかなかった。やはりウェットンの声が恋しいのだと思ったが、しかし生で聴くとやはり違う。思わず込み上げてくる嗚咽を抑える余裕すらない。それまで白一色のみと味気なかった照明が、ここにきて紅く染まり出した。最後の音が鳴り響き、メンバーが楽器を置いて立ち上がった時には、思わずこちらもスタンディング・オベーションで応える。「トニー・レビンがベースを置いてカメラを持った時は撮影OKの合図だ。」と開演前にロバートの声でアナウンスがあったが、スマホを取り出す余裕などあるはずがない。拍手を送るのと、涙まみれの顔が客電に照らされるのをごまかすのに必死だったからだ。

    アンコールはドラム3台による新曲に続き、「クリムゾン・キングの宮殿」だ。ビルはやはりメロトロン・パートを奏で、ギター・クラフト・チューニングでは弾けないあのアルペジオはジャッコが担当する。

    そして聞き覚えのあるパイプを吹くような音が流れてきた。そう、このSEと言えば同アルバムのオープニング、「21世紀の精神異常者」だ。ここで初めて、PA卓横に置かれたPODの意味が分かった。ボーカルを歪ませる為だったのだ。


    今回のツアーでは、メンバー全員がスーツを着用していること、40年間一切演奏されなかった曲がセットリストに含まれていること、そしていつもスポットはおろか、サスも当たらない暗闇でギターを弾いていたロバートにライトが当たっていることなどから、これが最後のクリムゾンになるだろうという予感はしていた。しかし実際に体験して、それは確信に変わった。これまでに関わった全てのメンバー達、関係者、そしてファン達への感謝も込めた、自ら鎮魂歌を奏でるツアーなのだ。

    少なくともロバートはこれで最後だろう。しかし今回見て思ったのは、もしかすると誰かにバンドを託す可能性もあり得るという事だ。そう、ビル・リーフリンならドラム・セクションをまとめ上げ、キーボードもギターもこなす。さらにギター・クラフトにて長年に渡りロバートから直接指導も受けている。

    彼ならキング・クリムゾンの看板を背負っていけるかも知れない。

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    コメント
    こんにちは。宜しくお願いします。
    私は香川県のサンポートホールで体験しました。どのメンバーも凄かった。その少し前に「007 スペクター」を観たのですが、急速テンポのドラム・アンサンブルは、イタリアの街で展開される猛烈なカーチェイスを思わせた。
    私もPA席のそばを通る時、PODの存在に気付きました。フリップ氏はギターの音よりも、ギターシンセとか手元のキーボードを弾く比率が高かったですね。「太陽と戦慄パート供廚楼柄阿里茲Δ縫シガシとした感じではなくて、やや落ち着いた感じではあるが、素晴らしかった。
    ライティングはずっと白色光で、最後の曲だけ真っ赤になりました。
    一つ問題としては、4曲目ぐらいにスマホを見ていた客が強制退場となった。これは分かる。当然のマナーであり、事前に何度も告知があったのだから。
    とは言え、トニーがカメラを出した時だけこちらも撮影できるのは周知の事実。かと言って、トニーがカメラをしまうと同時に客も一人残らずサッとスマホをしまう、とならないのが現実。
    ここら辺は客の良識だが、混乱を招かない方法を考えてほしいと思う。
    いちいち客席に係員が来て、苦言を呈すのは見苦しい光景だから。
    とは言え、演奏は最高、PAの音質も最高、大満足でした。帰りの客も全員「すごく良かった」「来て良かった」と口々に言い、今後語り草になるライブだと思います。
    • Log
    • 2015.12.21 Monday 07:17
    Logさん

    はじめまして。そしてコメントありがとうございます。

    高松公演行かれたのですね。やはりよかったようですね。

    写真撮影は本当に難しいところだと思います。これまでは一切撮影禁止だったのが、今ツアーから件の通り、演奏が終わってからという条件付きでOKとされただけでも驚きでした。聴衆の良識に委ねたのでしょう。

    ロバートは来年をもって本当に引退すると思いますので、可能ならもう一度見ることが出来ればと思っています。
    • Shinkuro
    • 2015.12.22 Tuesday 07:33
    どうもありがとうございます。客入れの時のサウンドスケープは何かのアルバムを流しているかと思っていたのですが、その日に用意されたものだったんですね。もし物販コーナーで売っていたら部屋に流したいと思いました。
    既に来年のヨーロッパツアーが発表されていますが、ぜひとも再度来日してほしいです。そして、今回のツアーでクリムゾンを体験した全ての人にとって、これは一生最高の思い出になり、後々まで語り草になるのは間違いないと思います。
    • Log
    • 2015.12.22 Tuesday 09:15
    Logさん

    本当にそうですね。少なくとも自分にとって、最高の思い出のひとつになること間違いありません。
    来年はヨーロッパに加え、南米もあるかもしれません。思い切って行ってしまおうかとさえ考えてしまいます。

    • Shinkuro
    • 2015.12.23 Wednesday 08:11
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