2017.04.26 Wednesday

デイヴ・ギルモア

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    最近ピンク・フロイドをよく聴いている。こんなによく聴くのは、中学時代に「ザ・ウォール」にハマった時以来かもしれない。それというのも、昨年夏頃から始まったアナログ盤再発をきっかけに、これまで聴いてなかった「神秘」「雲の影」にやられてしまったからだ。

    さて、ピンク・フロイドのギタリストと言えばデイヴ・ギルモアである。もちろんオリジナル・メンバーであるシド・バレットも、アイデアや閃きという意味では凄かった(ルックスも飛び抜けてカッコ良かった…)。しかし「ザ・ウォール」でのギルモアのプレイがあまりにもカッコよかったので、その後遡って大ヒット作「狂気」を聴いてもピンとこなかったくらいだ。

    ミュージシャンにはふた通りある。ひとつ目は初めから凄かった人(エリック・クラプトンやエディ・バン・ヘイレン)、そしてふたつ目は、初めは大したことないが、どんどん凄くなっていく人だ。ギルモアは間違いなく後者に分類される。

    「ザ・ウォール」に於ける「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール・パート2」での水がしたたるような音色、また音程を2段階に変化させるベンドや、ベンド時に隣接した複数の弦をミュートして鳴らす技、さらにピッキングの強弱による絶妙のニュアンスなど、匠の技としか言いようがない。

    「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール・パート2」でのソロはクリーン・トーンだが、「コンフォタブリー・ナム」ではこれまた極上のディストーション・サウンドが聴ける。もちろんあの改造を施したストラトならではの独特の音色ではあるが、ソロでのピッキング・ハーモニクスやロング・トーンの多用、そしておそらくあの短いアームによる独特のビブラートなど、また違う聴きどころ満載である。

    「ザ・ウォール」では、後にU2が十八番にする付点8分及び2拍3連のディレイも特徴的だ。もっともフロイドは71年の「吹けよ風、呼べよ嵐」で既にやっていることなので、特に目新しいわけではないが、アルバム全編を特徴付ける重要な効果のひとつになっている。

    さて、そんなフロイドは昨年、初期未発表音源集大成ボックスを発売したが、その価格もさることながら、自分はあと一枚未聴のオリジナル・アルバムがあったので、入手を見送った。
    しかし、この春になってあろうことかバラ売りで出たのだ。バラで単品を手に入れたら結局は全部欲しくなって、かえって高くつくのではないかと思ったが、全部買ってもボックスよりは安いことがわかった。ただし、ボックスにしか入ってないのもあるが、特に聴きたかったのは、原子心母、エコーズのサラウンドだったので、数セットのみ手に入れた。

    結局、全部買った後にやはりボックスも欲しくならないことを祈りつつ、相変わらずフロイド三昧だ。


    1980年の「ザ・ウォール」コンサートより。後半の「パート2」にはギルモアとスノーウィー・ホワイトのギター・ソロも!





    25年後、ライブ8の為に一夜限りの再結成より。


    ギターはもちろん、楽曲も素晴らしい3枚目のソロ・アルバム


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    2017.03.22 Wednesday

    ジェイムス・テイラーとリヴィングストン・テイラー

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      これまで数多くのミュージシャンの演奏を聴いてきたが、音楽と一体化していると感じられた人は少ない。しかし、ジェイムスとリヴィングストンのテイラー兄弟はそんなうちのふたりだ。

      どちらも2回ずつライブで聴いたが、彼らがそこにいて、ほんのちょっとギターを爪弾いたり、歌い始めた途端、場内に音楽が満ち溢れる感じを受けた。彼らの存在そのものが音楽なのだ。それは野球場やホールで見たジェイムス・テイラーより、ライブ・ハウスで間近に見たリヴィングストン・テイラーの方が、当然ながらよく伝わってきた。彼らは音楽一家に生まれ育ったというので、恵まれた環境がそういった資質を育んだのは間違いない。フォーク、ブルー・グラス、そしてカントリー&ウエスタンの色が強く感じられるが、ジャズ、ロックン・ロール、クラシック、ブルースその他、あらゆるポピュラー音楽を聴いて育ったのだろう。

      ジェイムス・テイラーといえば、70年代前半の素朴なシンガー・ソングライターのイメージから70年代中盤以降のジャズ・ミュージシャンを起用してのより洗練されたAORミュージシャンと若干の振れ幅はあるものの、基本スタイルはほぼ変わらない。キーによっては、開放弦を生かしやすいようにカポを使用し、コード・バッキングしながら歌の合間にハマー・オン/プル・オフを織り交ぜたオブリガートを入れる。

      75年代半ば頃からは、共演ミュージシャンらからの影響もあるだろうが、テンション・コードを多用するようになるが、これも開放弦を生かした中で自然と出てきたものだろう。彼が良く使うキーはG(Em)かD(Bm)だが、たとえばGの場合、Gmaj7 11、Bm11 13、C9 #11、Em7 9といったコードは開放弦を織り交ぜることにより、いとも簡単に弾く事ができる(むしろシンプルなコードより押さえやすい)。自分もこれらをよく使っているのだが、ジェイムズ・テイラーをコピーしたからというわけではなく、たまたま使っていた(知らずにジェイムズ・テイラーの影響を受けていたのかも知れないが・・・)。なので、本人もコード名などは意識せずに、響きが気持ちいいのでそうしている可能性もある。


      リヴ・テイラーはボストンのバークリーでもずっと教えていたようだが、彼の講義なら是非受けてみたいものだ。


      妹と一緒に歌うリヴ


      テンション・コードも開放弦をまぜればいとも簡単に


      ジェイムス現時点での最新作から

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      2016.04.26 Tuesday

      アンディ・ラティマー

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        最近はあまり聞かないが、自分がギターを始めた頃は「泣きのギター」という表現があった。具体的に何をもって泣きのギターとするかは、人それぞれだったろうが、おそらく

        ・マイナー・キーの多用
        ・ベンド(チョーキング)、ビブラートの使い方
        ・弾いているギタリストの表情
        などによって聴いているものに悲しさが伝わってくることだと思われる。

        さて、キャメルのギタリストであるアンディ・ラティマーも「泣きのギタリスト」と形容されることが多い。
        当然、彼も前述した三つの条件を兼ね備えている。正確なベンドの音程、感情表現に欠かせないビブラートも巧い。

        使っているギターは、レス・ポールかストラトキャスターといったオーソドックスなものがほとんどだが、昔はライブでアイバニーズのダブル・ネックも使用していたはずだ。エフェクトは一時ピート・コーニッシュのカスタム・ボードを使っていたこともあったが、現在は通常の単体コンパクトをボードに並べているのだろう。

        キャメルといえば、昔から叙情派プログレと言われてきた。確かにスタジオ作を聴く限り、それはあてはまっている。だが、ライブで聴くと実際はハードなので驚いた。レコードでは押さえられたダイナミクスが実際には数十倍はあると感じられるのだ。

        また超絶プレイヤーがひしめくプログレ界においてキャメルは、テクニック的に二流、三流との評価に甘んじてきた。もちろん長いバンドの歴史にあって、素晴らしいプレイヤー達が出入りしてきたが、他のバンドたちと比べて地味であるのは否めない。

        そんなキャメルにおいて、唯一のオリジナル・メンバーであり、ギタリストであるラティマーは素晴らしいギタリストである。これだけのプレイヤーなら、もっとセッション活動をしても良さそうなのだが、他人のレコーディングにゲスト参加したりしたものすら、ほとんど聞いたことがない。おそらく自分=キャメルなのだろう。

        なにしろ、悲しいフレーズを弾いている時のラティマーの表情は、ラクダが泣いているかのようだからだ。


        「雨のシルエット」はじめて聴いたキャメルなので思い出深い


        「ブレスレス」リチャード・シンクレアの声が好きなので、これもやはり!


        「ヌード」久々のコンセプト・アルバムが嬉しかった


        「ファースト」最初は地味だが聴けば聴くほど好きになった





        2016.02.13 Saturday

        ドン・フェルダー

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          自分が意識的に音楽を聴き始めた頃ヒットしていた曲のひとつが、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」だった。最初に聴いたのはAMラジオだったので、終盤のギターソロが始まるやいなやフェード・アウトされたのだが、それでも充分に印象に残っていた。

          実際にアルバムを通して聴いたのは、それから2年くらい経ってのことだった。その時はギターの魅力より楽曲の良さ、そしてアルバム全体の完成度の高さに驚いたものだった。しかしやはりギター小僧としては、「ホテル・カリフォルニア」のギター・ソロ(バトル)をコピーしないではいられなかった。いざ弾いてみると、前半のドン・フェルダーのソロも素晴らしいが、区切りにグリッサンドをきめたり、1弦をベンド・アップしたのち、指の下にもぐりこんだ同フレットの2弦をベンド・ダウンするという技(一部では「ジミ・ヘン・フレーズ」と呼ばれた)が飛び出す後半のジョー・ウォルシュのパートにより魅力を感じたものだ。しかし、今から数年前に出版されたドン・フェルダー自伝によって、それらソロは全てフェルダーによって書かれたものだったことを知り、非常に驚いた。

          「ホテル・カリフォルニア」ではソロ以外にも聴き所が多く、トレード・マークとも言えるイントロの12弦ギター、歌のバックで聴ける二人のギタリストによるオブリガート、そしてレゲエ調のリズムに合わせて刻まれる、ミュートして音程を完全に殺したカッティングなどである。

          同アルバムでは、続く「ニュー・キッド・イン・タウン」でも、複音中心にしたフェルダーによる素晴らしいソロが聞けるし、「駆け足の人生」や「暗黙の日々」での緻密なギター・バッキング・リフの組み合わせ方も完璧としか言いようがない。

          それ以前のレコーディングで最も印象的なソロは、その前作「呪われた夜」である。ブレイクの後、いきなり最終フレットをベンドしたギターで出せる最高音からスタートし、ロング・トーンとスタッカートをうまく組み合わせた絶妙のソロが聴ける。少しブーミーなファズ・サウンドも心地良い。

          自伝では、イーグルスの舞台裏を暴露した部分が衝撃的だったが、ギター弾きとしては10代半ばで無名同士だったスティーヴン・スティルスとバンドをやっていたことや、のちにイーグルスを結成するバーニー・レドンとの出会い、さらに地元でフェルダーにギターレッスンを受けていた10代前半のガキの一人にトム・ペティがいたりと、興味深いエピソードがたくさん書かれている。

          やはり、凄いギタリストには一人ではなれないということだ。


          ニュー・キッド・イン・タウン

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          呪われた夜



           

          2016.01.31 Sunday

          イアン・ベアンソン

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            レス・ポールの音と言えば、豊かなサスティン、甘く太い音色が特徴である。自分にとって理想のレス・ポール・サウンドが聴ける楽曲の一つに、ケイト・ブッ シュ「嵐が丘」がある。この曲終盤のソロでは、レス・ポールのフロント・ピックアップならではの音色が存分に堪能できる。このギタリストこそ、イアン・ベアンソンである。
             
            当時、このソロを弾いているギタリストが誰だか意識したことはなかった。大方、英国のスタジオ・ミュージシャンの一人だろうくらいにしか考えていなかったのだ。その数年後にアラン・パーソンズ・プロジェクト「アイ・イン・ザ・スカイ」でも素晴らしいギター・ソロを聴かせてくれたのだが、これが同一ギタリストによるものだと知ったのは、随分後になってからのことである。
             
            ベアンソンは元々1970年代半ばにパイロットのメンバーとしてデビュー、数枚のアルバムを残して解散後、当時パイロットのレコードをプロデュースしていたアラン・パーソンズに誘われて、彼のプロジェクトにセッション・ギタリストとして参加するようになったらしい。
             
            元々レス・ポール・カスタムを愛用していたが、アラン・パーソンズ・プロジェクトではストラトと思しき音色も頻繁に聴くことができる。何れにしても、素晴らしい演奏であることに変わりはない。
             
            高校時代からバンドを始めた自分が参考にした、または目標としていた音色は彼のサウンドだったのだ。
             
            今回採り上げるにあたり、彼自身のサイトを見たら、「嵐が丘」他ではレス・ポールをマーシャルの50ワット・ヘッド+12インチ×4発入りキャビネットで鳴 らしたものだということがわかった。10代後半〜20代半ばまでの自分の機材選択は間違っていなかったと嬉しくなった。
             
            ただし、自分が使っていたのはギブソンではなく、グレコのレス・ポール・コピー・モデルだったが…。
             

            ケイト・ブッシュ「嵐が丘」ベアンソンのソロは3分を過ぎたあたりから


            アラン・パーソンズ・プロジェクト「ゲームス・ピープル・プレイ」
            パイロットの二人がブースで仲良く演奏する様子も


            パイロット最大のヒット曲「マジック」


            アイ・イン・ザ・スカイのソロ


            嵐が丘収録

            ストラトの「ハーフトーン」でのソロも素晴らしい
            2016.01.23 Saturday

            スティーブ・ハケット

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              ギタリストの優劣を判断する重要なポイントの一つに、レガートで(なめらかに)弾けているかが挙げられる。レガートで弾くには、

              1.左手各指の押弦タイミングは、その音が鳴るタイミングに限りなく等しい

              2.左手各指が離れるタイミングはその音が終わるタイミングに限りなく等しい

              3.ピッキングのタイミングはその音が鳴るタイミングに限りなく等しい

              4.ピックが弦に触れている時間は極力短くなければならない

              5.両手のタイミングが一致している

              これら全ての条件を満たさなければならない。どれか一つでも欠けていると、なめらかには聞こえず、たどたどしくなってしまう。

              しかしスティーブ・ハケットは、そのたどたどしさを武器にしてしまったギタリストと言える。あの感じがないとジェネシスの「怪奇のオルゴール」、「ファース・オブ・フィフス」、ソロでの「エイス・オブ・ワンズ」は全く違ったものになってしまう。

              もちろん彼には他にもたくさんの武器がある。その一つに右手タッピング奏法が挙げられる。右手タッピングをバン・ヘイレン登場以前である70年代初頭に、あれだけやっていたのは彼ぐらいのものだろう。ただ少し地味だったので、それほど脚光を浴びることもなかったに違いない。

              もう一つの武器はクラシカル・ギター奏法である。特に「アルハンブラの想い出」で有名なトレモロ奏法が彼の十八番だ。ただしそのフォームから推測するに、長年クラシック・ギターを習い続けたのではなさそうだ。おそらくギターを始めた2〜3年程度、レッスンを受け、あとは独学でやり続けているのだろう。

              しかし何と言っても彼の最大の武器は、その作曲とアレンジのセンスだろう。叙情性と幻想性、転調や変拍子を駆使した展開など、これぞ英国プログレと言わんばかりである。

              だが自分がもっとも彼の音楽に夢中になっていた1980年代半ばから後半といえば、そういった音楽が最もカッコ悪いとされていた時代でもあった。それでか彼はアコースティック・ソロ作2枚、中途半端な出来のエレクトリック作を出す程度にとどまっていた。

              しかし21世紀に入った頃から、精力的にツアーを行い、またジェネシスのセルフ・カバー集のヒットも手伝ってか、ここ数年絶好調のようである。ギタリストとしては、不遇の80年代からフロイドローズのアームやフェルナンデスのサスティナーなどを積極的に採り入れてきたし、以前よりもプレイ自体が流暢になってきた。

              最新作「ウルフライト」もそんな好調ぶりが反映された力作である。元気過ぎて、逆に昔の弱々しい蜻蛉のようなところが恋しくなったりする。

              この春にはそんな彼が自身のバンドとしては初めて大阪にもやってくる。前回の来阪はプログレ・オールスターズ的なプロジェクトだったし、その後はソロで来ても東京のみだった。1990年代後半からアルバムを買うのもやめていた自分が、東京までライブを見に行くこともなかった。しかし今回は行くことにした。新作はもちろん、ジェネシス〜初期ソロ時代まで網羅した集大成的なライブとのことである。


              最新作「ウルフライト」


              やはりこのソロ1作目ははずせない


              地味なタッピングに注目


              近年のライブより



               
              2013.08.20 Tuesday

              ロビー・マッキントッシュ

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                プリテンダーズのクリッシー・ハインドはギタリストを選ぶセンスに長けている。たまたま誰かの推薦なのか、それともマネジャーやプロデューサーが選んだのかも知れない。そうだとしても、プリテンダーズの歴代ギタリスト達はツワモノが多い。オリジナルのジェイムズ・ハニマン・スコット、数曲セッション参加のみのビリー・ブレムナー、そして今回取り上げるロビー・マッキントッシュ然りである。

                1983年発売になったプリテンダーズのサード・アルバムである「ラーニング・トゥ・クロール」のオープニングであり、シングルにもなった「ミドル・オブ・ザ・ロード」のギター・ソロを聴いた時は、「チェイン・ギャング」と同じギタリストなのだろうと思った。テレキャスターと思われる音色で指とピックを絡めたソリッドで切れ味の鋭いソロに完全にノックアウトされたからだ。しかし、実は別のギタリストだった。

                それから数年後の87年、マッキントッシュを含む編成でプリテンダーズが来日したときは嬉しかった。もちろん見に行ったが、彼がレコードで弾いていた部分はもちろんのこと、歴代ギタリスト達が弾いていた楽曲でも原曲を損なうことなく、いい加減のスパイスを効かせたソロを聴かせてくれたのだ。

                その後ポール・マッカートニーのバンドに引き抜かれた時は驚いたと同時に、ポールも見る目(聴く耳か)があるものだと感心した。その編成で来日もしたが、残念ながら行くことはできなかった。しかし、彼を加えた編成で2枚のライブ盤が発売された。いずれも彼らしいオリジナルの良さを生かしつつ彼ならではの風味を加えてくれていた。だいたい中途半端に巧いギタリストというのは巧いのはわかるがこれでは原曲(原ソロ)が台無しだと思わせるのだが、マッキントッシュはそうではない。原曲の良さを生かしつつ、巧いということもちゃんと匂わせる。

                自分が見に行った2002年のマッカートニー来日公演では、残念ながら彼の姿はもうなかった。今のギタリストも悪くはないが、マッキントッシュには遥かに及ばない。もう一度呼び戻して欲しいものである。


                それまで無名だった彼が一躍注目を集めたプリテンダーズの3枚目


                プリテンダーズ最大のヒット作でも全面的に彼が弾いている


                マッカートニー・バンドに彼が参加したと聞いたときには驚かされた


                原曲のラインをなぞるものの、オリジナル・ギタリスト達より巧いのは明らか

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                2013.08.13 Tuesday

                ビリー・ブレムナー

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                  先日、ふとプリテンダーズ82年のヒット、「バック・オン・ザ・チェイン・ギャング」で弾いているのは誰だったろうかと気になった。いいセンスをしていたオリジナル・ギタリストが死んだものの、その後このシングルが出てヒットした当時は嬉しく思ったのと同時に、また新たにいいギタリストを見つけてきたものだと感心したのだった。それから2年近く経って、やっとこの曲を収録したアルバムが出た時には、また別の達人であるロビー・マッキントッシュが加入、結局そのギタリストは正式メンバーとはならなかったことを思い出したからだ。



                  さて、いざ調べてみるとなんのことはない、そのギタリストはビリー・ブレムナーだった。初めて彼を意識したのは、高校一年の同級生からブレムナーが参加していたロックパイルのLPを借りて聴いた時のことだった。カンボジア難民コンサートに彼が参加するロックパイルが出演、ロバート・プラントと共演していたのはうっすら記憶にあったが、ゼッペリンの熱狂的なファンだった今は亡きその友人がそのLPを貸してくれたのだった。数回聴く内にコシがあってごきげんにドライヴしたギターに惚れてしまった。その後ロックパイル、デイヴ・エドモンズのソロ、そしてニック・ロウのソロと、彼が参加したアルバムを買い集めては、その演奏に打ちのめされてきた。



                  ロックン・ロール、ロカビリーをやるギタリストはチャック・ベリーやスコッテイ・ムーアらの影響が顕著だが、ブライアン・セッツァーがそうであるようにジャズを感じさせるフレージングが飛び出してくる。初期のロックン・ロールはそれ専門のミュージシャンが存在しなかったので、ジャズを演奏しているミュージシャンが受け持っていた。だからジャズの臭いがして当然である。もしくはカントリー・プレイヤーだったりもする。そこでトラディショナルなロックン・ロールを追求すると、自然にジャズとカントリーに行き着くわけだ。ブレムナーも例外ではなく、ロック専門のプレイヤーだけを追いかけていては彼のようには弾けない。



                  しかし彼はギターがうまいだけではない。さらに歌えるのだ。rの音をアメリカ英語風に発音して歌っていたのが彼だった。



                  天は二物を与えた。





                  唯一のロックパイル名義でのスタジオ盤(と今見ると3曲増えているではないか!)。





                  一昨年、突然発売された1980年のライブ。





                  ブレムナーのギターが堪能できるだけでなく、アルバート・リーも参加しているデイヴ・エドモンズ名義のアルバム



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                  2013.07.28 Sunday

                  ジェフ・ベック

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                    その昔、誰か(確か渋谷陽一だったと思う)がこう言った。「バンドのギタリストのソロ・アルバムが最も注目を集める。」今では状況も異なるが、当時は確かにロック・バンドでギタリストは花形であり、楽曲の多くを提供していることも多かったからだろう。しかし自分はあえてこれに付け加えたい。

                    「最も退屈なのは、バンドのギタリストのソロ・アルバムであることが多い。」

                    注目していた優秀なギタリストがいざソロ・アルバムを出すと、大抵の場合がっかりさせられる。ギター演奏自体は素晴らしいのだが、楽曲がショボかったりコンセプトが絞り込めていなかったりして、何度も聴こうという気にはなれないのだ。

                    しかし、その数少ない例外の一人がジェフ・ベックである。

                    最初に聴いた時には既にソロで「ブロウ・バイ・ブロウ」、「ワイアード」とヒット作を連発した後だったが、実のところ当時中2だった自分にとっては「ブロウ・バイ・ブロウ」ですら、イージー・リスニングかと思ったほどだ。

                    本当にのめり込んだのは、その後に聴いたBBAの「ライブ・イン・ジャパン」、そして第2期ジェフ・ベック・グループの「ラフ・アンド・レディ」を聴いてからのことだった。BBAライブでの生々しいギター、そして「ラフ・アンド・レディ」は71年という時代を全く感じさせない新しい感覚に驚かされた。

                    それから随分経って、実はジェフ・ベックはほとんど自分一人では作曲ができないということがわかってきた。ちょっとしたリフを提供したりはするが、マックス・ミドルトンやトニー・ハイマスといったパートナーがいないと最終形まで完成できないのだ。優れた作曲家/パートナーに「こんな感じの音楽をやりたい。」と伝え、そしてそれを具体化するプロデューサーを雇い、自分はプレイヤーに徹する。その開き直りが成功の秘密に違いない。だからブルース・ロック/ハード・ロックな第一期JBG、ファンキーでソウルフルな第二期JBG、ソロになってからのクロスオーバー路線、20世紀末から21世紀初頭にかけてのテクノ/サイバー路線など、その度にキーとなるパートナーが必ず存在する。

                    そういうわけで心置きなく自分のギターに集中ができるのだ。

                    歳をとるにつれ、もちろん表現力は増しているが、さらには常に新しい「必殺技」を生み出していく。基本的なテクニック面で上達するということはないが、誰もやっていないようなことに次々とチャレンジしていくのだ。

                    1. トリッキーかつスリリング:今のは何だ?と驚かせるのが好きなのだろう。ヤードバーズ時代から、開放弦を混ぜたトリルや、ピックアップに弦を押し当ててフレットよりも上の音程を出してみたり、突然すかしてみたりとあの手この手で揺さぶってくる。

                    2. 親指と人差し指によるロカビリー/カントリー奏法:BBAライブでの「ジェフズ・ブギー」終盤に登場するのが、この奏法による典型例「じゃじゃ馬億万長者」のテーマだ。第一期JBG時代から同じようにメドレーでやっていたようだが、BBAではテンポもグッと速くなっている。

                    3. 正確な音程:ベンド(チョーキング)で正確な音程を維持するにはある程度慣れが必要だが、「哀しみの恋人達」等では、一旦ベンドしておいてさらにもう一段階ベンドする。これはその後、スライド、アームにも応用されるようになる。「ギター・ショップ」でアームによる微妙な音程コントロール技を聴いた時は衝撃だった。
                      

                    しかし、これらの必殺技よりももっと凄いのは、ギターがどんどん唄うようになってきた事だ。フラット・ピック→サム・ピック→指メインと変遷するにつれ、どんどん肉声に近づいてきた。否、本当はこういう風に唄いたかったに違いないと思わせるほどである。だからベンドやらビブラートやらも、あくまでも声の一部であり、それがチョーキングであったり、スライド・バーであったり、トレモロ・アームであったりするが、本人にとってはその音さえ出ればどれでも良い事なのだろう。同じ“歌えないギタリスト”としてその気持ちが痛いほどよくわかる。


                    これが71年か?と79年の自分には衝撃だった


                    大阪厚生年金でのライブ。あまりの生々しさにぶっ飛んだ。


                    いつもながら奴はライブで本領を発揮する。


                    2000年前後のデジタル3部作の2作目。前作と甲乙つけがたい。


                    そしてレス・ポール所縁のクラブでのライブ。映像版が楽しい。


                    JUGEMテーマ:ROCK


                    2013.06.21 Friday

                    アンディ・フェアウェザー・ロウ

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                      彼の名前を初めて知ったのはロニー・レインARMSコンサートでのことである。

                      元スモール・フェイシズ〜フェイシズ〜スリム・チャンスのロニー・レインが罹った難病の研究費用を捻出するため、慈善コンサートがロンドン等で開催された。当時は元ヤードバーズ3人のギタリストであるエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジが競演するというので大いに話題になった。それ以外にもビル・ワイマン、チャーリー・ワッツ、スティーヴ・ウインウッド、ケニー・ジョーンズらが出演、さらにニューヨーク公演ではポール・ロジャース、ジョー・コッカー、ロン・ウッドも出演するという豪華さだったらしい。

                      もちろん、高校生だった自分はロンドンまで見に行くことはできなかったが、暫くしてFMでロンドンでのライブが放送され、さらに数年後にはビデオも発売された。

                      そのコンサートでは豪華な出演者の中で、堅実にバッキングに徹しているギタリストがいた。それがアンディ・フェアウェザー・ロウだった。ユニオンジャックのジャケットを纏い、バッキング・ボーカルもこなし、ジェフ・ベックのセクションでは「ピープル・ゲット・レディ」を歌ったりもしていた。当時はエイメン・コーナーはおろか、フェアウェザーも知らなかったので、このヘンテコなおっさんは一体何者なのだろうと思った。


                      さて、1991年の暮れ、ジョージ・ハリソンがエリック・クラプトン・バンドをバックに日本にやって来た。コンサートはジョージのパートがメインだが、中盤にクラプトンのセクションを挟んでいた。その時、サポートのギタリストが誰かは知らなかったが、途中彼がギター・ソロを弾く場面があった。コード・ストラミングばかりして地味なギタリストだと思っていたら大間違いだった。ほんのわずかな間だったが、引っ掛かりのある個性的な演奏ですっかり気に入ってしまった。そしてソロが終わると、クラプトンが「アンディ・フェアウェザー・ロウ!」と紹介し、そこで初めて彼だったと知ったのだ。


                      その翌年「アンプラグド」が大ヒット、それに続いてまたしてもクラプトンが来日した。もちろん、アンディ・フェアウェザー・ロウもバンドの一員だったので見に行ったのだが、前回のような光るソロは聞かせてはくれなかった。

                      さらにその後、ロジャー・ウオーターズのバンドメンバーとしても来日したが、その時は主にベースを担当、たまにギターを弾くもののソロを弾く場面は皆無だった。

                      それから彼名義のソロ・アルバムを数枚聴いてみたが、いずれもシンプルなコード・ストラミング中心でソロはほとんどない。ハリソンとの来日時のあのソロは幻だったのだろうか。


                      しかしこの秋、なんと彼が自身のバンドをひき連れて来日する。人のバックではなく、彼がメインのライブを日本で見ることができようとは夢にも思わなかった。だがよくよく日程をチェックすると、9月末頃である。ということはZUM南米ツアーと重なっていて行けないではないか。やはりあの素晴らしいギター・ソロは、このまま幻として心に刻むしかないらしい。


                      比較的最近のソロ作


                      こんなベスト盤的なものも!


                      ARMSコンサート - FMでオンエアされたものより曲数が少ないのが残念!



                      JUGEMテーマ:MUSIC


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