2015.12.11 Friday

キング・クリムゾン 2015年12月7日 渋谷オーチャード・ホール

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    ロバートがキング・クリムゾンを復活させ、ツアーをすると発表したのは一昨年のことだった。しかもドラマー3人という驚きの編成なのだ。それが昨年の米国ツアー、今秋の欧州ツアーに続き、遂に日本にもやってきた。

    座席はPA卓すぐ後ろという絶好の位置。そのPA卓の横には、一世を風靡したギター・エフェクター、PODが置かれてあるのが気になった。同行のギター・クラフト・ピック・メーカーI氏と顔を見合わせて、一体何に使うのかと不思議に思った。

    さて、場内にはお約束、本日限定サウンドスケープが流れている。ロバートはいつもサウンドチェックの最後に、その日の客入れBGMを即興で演奏して、そのままループさせて流すのだ。

    開演時刻を15分程過ぎて客電が落とされた。と、どこかで聞いた事のある音が…。そう、「アイランズ」最後に隠しトラックとして収録されている、オーケストラとのリハーサル音だ。それに乗せてメル・コリンズ中心の即興演奏が始まる。続いてロバートが何やら刻み出す。「太陽と戦慄パート1」のイントロだ。昨年のセットリストを見て、この曲が30年振りに演奏されているのを知ってはいたが、高まる興奮を抑えることができない。

    その後も、全ての封印を解くかのように、過去のラインアップでは演奏されなかった69〜74年の楽曲が続々と登場する。

    しかし何と言っても圧巻なのは、ドラム3台という前代未聞の編成だ。昨年のライブ音源を聴いた時は、正直その意味もわからなかった。しかし、それは生で体験して初めてその良さがわかると実感した。例えばマステロットが8分で、ハリソンは付点4分で刻み、その間にリーフリンは別の事をしてみたり、フレーズを3人で回してみたり、はたまたユニゾンでキメてみたりと、あらゆる手を使ってくるのだ。90年代クリムゾンのツイン・ドラムよりはるかに整理され、考え抜かれたアンサンブルだ。

    これは中盤で演奏された新曲〜2000年代クリムゾンの楽曲で真価を発揮していると感じられた。「コンストラクション・オブ・ライト」も「レベル5」も、数段スリリングで格好良い。

    今回のクリムゾンから新たに加わったドラマーのビル・リーフリンは、ほとんどのメロトロン・パートも弾き、キーボード奏者としても大活躍だったが、実はギターも弾くマルチ・プレーヤーなのだ。彼はこれまでにミニストリー、ナイン・インチ・ネイルズ、REMなどにも関わってきたが、ギター・クラフトにもずっと参加している。因みに彼は数年前、ロバート・フリップ&オーケストラ・オブ・クラフティ・ギタリスツのイタリアでのライブで「21世紀の精神異常者」をやった際、グレッグ・レイク版のベース・パートを完コピしてきていた。

    そしてコンサート本編ラストは「スターレス」だ。昨年のライブ音源を聴いた時、実はそれ程ときめかなかった。やはりウェットンの声が恋しいのだと思ったが、しかし生で聴くとやはり違う。思わず込み上げてくる嗚咽を抑える余裕すらない。それまで白一色のみと味気なかった照明が、ここにきて紅く染まり出した。最後の音が鳴り響き、メンバーが楽器を置いて立ち上がった時には、思わずこちらもスタンディング・オベーションで応える。「トニー・レビンがベースを置いてカメラを持った時は撮影OKの合図だ。」と開演前にロバートの声でアナウンスがあったが、スマホを取り出す余裕などあるはずがない。拍手を送るのと、涙まみれの顔が客電に照らされるのをごまかすのに必死だったからだ。

    アンコールはドラム3台による新曲に続き、「クリムゾン・キングの宮殿」だ。ビルはやはりメロトロン・パートを奏で、ギター・クラフト・チューニングでは弾けないあのアルペジオはジャッコが担当する。

    そして聞き覚えのあるパイプを吹くような音が流れてきた。そう、このSEと言えば同アルバムのオープニング、「21世紀の精神異常者」だ。ここで初めて、PA卓横に置かれたPODの意味が分かった。ボーカルを歪ませる為だったのだ。


    今回のツアーでは、メンバー全員がスーツを着用していること、40年間一切演奏されなかった曲がセットリストに含まれていること、そしていつもスポットはおろか、サスも当たらない暗闇でギターを弾いていたロバートにライトが当たっていることなどから、これが最後のクリムゾンになるだろうという予感はしていた。しかし実際に体験して、それは確信に変わった。これまでに関わった全てのメンバー達、関係者、そしてファン達への感謝も込めた、自ら鎮魂歌を奏でるツアーなのだ。

    少なくともロバートはこれで最後だろう。しかし今回見て思ったのは、もしかすると誰かにバンドを託す可能性もあり得るという事だ。そう、ビル・リーフリンならドラム・セクションをまとめ上げ、キーボードもギターもこなす。さらにギター・クラフトにて長年に渡りロバートから直接指導も受けている。

    彼ならキング・クリムゾンの看板を背負っていけるかも知れない。

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    2015.03.27 Friday

    ソフト・マシーン・レガシー 2015年3月24日 ビルボード・ライブ大阪公演

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      ここ数年で最もライブ演奏を聴きに行っている会場と言えば、まちがいなくビルボードライブ大阪である。たしか昨年、一昨年は3度ずつ、そして今年は早くも2度目である。

      ソフト・マシーンは自分にとって最もお気に入りのバンドの一つだが、実を言うとソフト・マシーン本家はもちろん、ソフト・ワークスもソフト・マシーン・レガシーに名前を改めてからの来日公演も見逃してきた。否、見送ってきたと言うべきだろう。理由は、ソフト・マシーンのアルバムを通してまともに聴くようになったのはここ10年くらいのこと、そして彼らに本当に夢中になったのは5年くらい前だったこと、そしてワークスもレガシーも本家とは別物であり、ちょっと試聴してみたところ余りにもゆるい雰囲気だったというのがその理由だった。

      しかしワークスに参加していた本家の歴代メンバーが次々に亡くなったこと、そして一昨年のワークス名義での新作が予想以上に良かったことから、今回は見逃すわけにはいかないと思い、会場に足を運ぶことにしたったのだった。

      だが本家歴代メンバーの一人であるドラムのジョン・マーシャルが健康上の理由により来日できなくなったという残念なニュースも事前に入ってきたり、また特別ゲストとしてあのキース・ティペットが参加するというのも正直なところ不安ではあった。ただでさえ歴代メンバーではないテオ・トラヴィスが参加していたところに、ドラマーまでが助っ人になってしまったことで、4分の2が本家とは関係のない人物になってしまったのだ。そこに近年のソロではプリペアード・ピアノやら完全即興演奏ばかりやっているティペットが加わるのだ。不安は増大するばかりだった。

      さて、公演前半は助っ人1名を含むワークス4人のみでの演奏、そして後半はティペットが加わっての5人編成という構成だった。オープニングはギターのジョン・エサリッジと管楽器のトラヴィスがルーパーを使用してのインプロヴィゼーションからワークスとしての最新作1曲目である「バーデン・オブ・プルーフ」だ。エサリッジの音はレコードで聞くよりトレブルが強く、やや耳に痛い。さらに今回は最前列のテーブルについたものだから、残念ながらPAの音はあまり聞こえず、かわりにステージ上のドラムの生音、ギター、ベース・アンプの音、モニターから漏れてくる音が強かった為、バランス的には悪かった。

      続いては何とアラン・ホールズワース時代の「ハザード・プロファイル」。エサリッジは気になるギタリストの一人だが、最近では若い頃の強引さも影を潜め大人〆の演奏を聞かせる。しかしここでは若い頃を髣髴とさせるプレイで場を盛り上げた。この曲では何せホールズワースの名演と比べられるのだ。奮起せずにはいられないだろう。

      そしてライブも中盤にさしかかった頃、いよいよキース・ティペットが登場、いきなりピアノ上に置いたオルゴールを鳴らし、それに合わせて(というか全く別のキーで)即興演奏を始めた。続いて彼が弾き始めたのは、なんと「タリーシンの物語」のイントロだった。先の「ハザード・プロファイル」と並んでのギター名演で否が応でも盛り上がる。さらには「キング・アンド・クイーン」、「フェイスリフト」、「ザ・ノッダー」といった本家の有名曲が披露された。

      管楽器とフェンダー・ローズ担当のトラヴィスは、最近ではロバート・フリップとも共演していたこともあり、気になっていたのだが、十二分にバンドに貢献しているように感じられた。最新作の出来の良さも彼に負うところが大きいのではないだろうか。

      しかし何と言っても圧巻だったのはキース・ティペットである。決められた形式の中で一体どういう演奏をするのか不安でもあり、興味もあったが、正確さ、鋭さ、はずし具合、攻撃性、協調性いずれも絶品だった。残念ながら自分が座った座席のせいで、グランド・ピアノの音が聞こえにくい場面もあったが、“普通”の楽曲に乗っかって彼が演奏をするのを生で聴く事が出来て良かったと本当に思った。

      もしも、オリジナル・メンバーのマイク・ラトリッジや、今や「癒し系」音楽で世界的大成功を収めたカール・ジェンキンズを加えた本家での復活が実現すれば、絶対に見逃すまい。


      フェイスリフト収録の傑作


      元々ホールズワースは好きではなかったが、これにはやられた。「ハザード・プロファイル」収録


      まだ若かった頃のエサリッジの強引なプレイも聞ける

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      2014.09.30 Tuesday

      ケイト・ブッシュ Before The Dawn @Eventim Hammersmith London 2014.09.16

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        ケイト・ブッシュが35年ぶりにライブをやると聞いたのは今年の初め頃だったろうか。しかもロンドン、ハマースミスのイヴェンティン・アポロ1ヶ所で20公演ほどやると言うので驚いた。その翌日だったか、ケイト・ブッシュのウェブ会員向けにチケット先行販売を行う旨のメールが届いた。その時は9月と言えばアルゼンチン行きを控えているし、さらに別件で海外渡航の可能性もあったので、まず無理だろうと思った。

        そんなことをすっかり忘れていたのだが、ある日ふと時計を見やって、英国時間の今頃ちょうど先行販売が始まっているということを思い出し、そしてこう思った。「もしも行けることになったら、チケットをあの時にとっておけばよかったと一生後悔するのではないだろうか・・・。」そのチケットというのは転売が禁止されており、その為チケットには名前が印刷され、会場入口で写真入りの身分証を見せる必要があった。だから行けなくなったらチケット代は丸々損することになるのだが、これはとれるものならとってしまおうと決心したのだった。



        かくしてチケットをとったのだが、その後あっという間に全公演分が売り切れたらしく、後日追加公演まで出る有様だった。こうなったら何としても行きたいと思うようになった。6月に入り、アルゼンチン行きがキャンセルになり、別件もほぼ無いことが確定したので、すかさずロンドン行きの便を手配したのだった。かくしてロンドンまで、たった1本のコンサートの為に旅することとなった。



        さて、万全を期してコンサート2日前にロンドン入りしたので、当日まで思い出巡りにレコード屋巡り、そして開催中のケイト写真展やらに足を運んで過ごした。そしていよいよ当日の夕方がやって来た。



        開場は18時15分だったが30分前には現地に到着した。なにせ会場のイヴェンティン・アポロは毎回自分が投宿しているアールズ・コートからは地下鉄1本プラス徒歩10分で行ける場所なのだ。現場に着くと、開場30分前というのに既に行列ができていた。早く行ったからといって良い席に座れるわけではないのにどうしたことだろう。

        しかし入場してその理由が分かった。Tシャツやらパンフレットを売る売店には長蛇の列…否、黒山の人だかりで近づくことすらできないのだ。さらにはバーカウンターが出ていて、みんなビールやらワインやらガンガン飲んでいる。自分もそこに並んで喉を潤したい欲求にかられたが、ここで飲んでは本番最中にトイレに立ってしまうだろうと思いとどまった。

        自分の席は1階後方ではあるものの、顔を動かさずにステージ全体が見られるので良席と言える(この会場はキャパで言うと元「大阪厚生年金会館大ホール」程度だろう)。早めに席に着きパンフレットに目を通しながら開演を待つことにした。



        さて、開演時刻になり照明が落ちると、バンドメンバーとバックシンガーが登場、そして最後にケイト本人が現れた。割れんばかりの拍手にこちらもひるんだが、負けじと拍手した。それにしても今回の公演は全部で22回、しかもチケットは全て完売とのことだが、一体どこにこれだけの人間がいたのだろう。狂気としか思えない(自分も飛行機に乗ってまで駆けつけたのだから狂気を通り越した大馬鹿者であるが・・・)。

        そしていよいよ待ちに待った演奏が始まった。馴染みのゲイブリエル・バンドのギタリストであるデイヴィッド・ローズやらドラムのオマー・ハキムやらもいるのだが、ケイトが登場するとそのオーラで霞んでしまう。驚いたのは息子のアルバートもバッキング・シンガーの一員として参加していることだ。残念ながらその容姿までは良く見えなかった。

        さて最初に6曲普通に演奏(Hounds of Love、Running Up That Hillといった5thアルバムからの楽曲も披露)した後、突如音響もサラウンドに切り替わった。そして始まったのがAnd Dream of Sheepである。そう、そうして何とHounds of LoveのB面Ninth Waveを芝居・映像まじえての全曲演奏となったのだ。自分にとってのハイライトはJig of Lifeだったが、アルバムの中では唯一ピンとこなかった曲であるThe Morning Fogもアコーディオン、ギターなどアコースティック・アレンジがなされ、原曲よりもぐっと良くなっていた。

        そして20分の休憩を挟み、今度はAerialのディスク2のA Sky of Honey全曲演奏である。人形使いも登場、そして息子であるアルバートは画家の役も担い、ストーリーに沿った芝居が繰り広げられる。

        彼女の楽曲で歌詞を聴いたり読んだりしても、実際それが何を意味しているのか分からかったりするが、映像を伴うと初めてこうだったのかと納得させられることが多い。今回のステージではこれまで映像化されていなかったNinth Waveに加えてA Sky of Honeyをやってくれたので、実際こういうことを表現したかったのかと新鮮だった。演出上面白かったのは、最新鋭の舞台設備と昔ながらの人力効果の両方をミックスしていたところである。波を表現するのに人力で布をはためかしたと思いきや、レーザー・ビームや様々な照明〜映像効果、そして音と映像の同期など、彼女が1979年のツアーでは不可能だったことも積極的に採り入れていたことだ。

        アンコールではピアノ弾き語りでAmong Angelsをやった後バンドを呼び込み、Cloudbustingで大団円。フェアライトでのサンプリング4部刻みストリングスは、デイヴィッド・ローズのエレクトリック・ギターによるカッティングが重ねられたライブ向きのアレンジだった。

        終演後

        パンフレット

        人形

        ステージ

        ビデオでしか体験できない伝説の79年ツアーでは、彼女はパントマイムやクラシック・バレエも採り入れて全身で表現するいわば「踊り語り」だった。歳を重ねた今、それは無理だったのだろうが、様々なアイディアが盛り込まれ、コンサート〜芝居〜ミュージカルといった要素を重ね合わせた彼女ならではの素晴らしいパフォーマンスだった。


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        2014.04.17 Thursday

        ジェフ・ベック 2014年4月5日尼崎アルカイック・ホール&4月16日大阪フェスティバル・ホール

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          これでジェフ・ベックを見るのも10回目くらいだが、一つのツアーで2回も行ったのは1999年の「フー・エルス」ツアー以来。バンド編成は前回の来日ツアーから加わったベースのロンダ・スミス、ドラマーのジョナサン・ジョゼフ、以前のジェニファー・バトゥンのような位置といえるギター&ギター・シンセのニコラス・メイヤーの4人編成。キーボードなしというのは珍しい編成だ。当初はヴァイオリニストも入っていたが、どういうわけか外れていた。

          ステージ・レイアウトは左から、ジェフ・ベックのアンプ、ベース・アンプ、ドラム・セット、ニコラスのアンプとなっていた。自分の席は右側だったが、前回来日公演の経験から「しめた!」と思った。そう、コンサートが始まるや否やジェフ・ベックは自分のアンプ&ボードをセッティングしてある左側ではなく、中央〜右側で演奏するのだ。だからメンバー全員が中央〜右側に集結し、左側はガラ空きになってしまう。誰かレイアウトを変更してやれよと言いたくなる。左側の最前列よりも右側の方がよっぽど良いからだ。


          尼崎アルカイック・ホールでは5列目だったので、ベックのマーシャル・アンプ生音を堪能、そして演奏の細部や表情まで観察できた。前回の来日時はフェンダー・ツイードの小型アンプと思しき音色が大ホールではショボかっただけに、マーシャルのラウドで太い音色は嬉しい。

          のっけから近々完成予定の新作に収録されるであろう新曲が間にジミ・ヘンのリトル・ウイングを挟んで3曲披露される。最近の一般的なコンサートではオープニングはみんなの知っている曲で始めて盛り上げるところを、ベックはそんなこと知らんとばかりに突き放す。しかしここ10年くらい似たようなセットリストにやや食傷気味だったので新鮮である。

          「エンジェル」でのフレットのないハイポジションでのスライド、「ウェア・ワー・ユー」でのアームによる音階といった90年以降の必殺技も馴れたもので、演奏途中に観客が声をかけても余裕で手を振るくらいだった。

          英国民謡の「ダニー・ボーイ」はソロ・ギターでスタート、左手親指でベース音を押さえ、アームによるコード音ビブラートも使いながら器用にこなしていく。

          しかしやってくれたのは「レッド・ブーツ」でのことである。この曲ではキメのブレイクを繰り返すが、そこで腕を振り上げてみたら客も盛り上がったので調子に乗ってしまったのだろう。2回目は違う振り上げ方をしたが、3回目くらいになるとネタが切れてしまい、まるで「万歳」のポーズになってしまったので大爆笑してしまった。単に思いつきでやってしまったのだろう。相変わらず見てくれのことなど何も考えていない。

          コンサートの8割は左側は誰もいない状態で進んで行く。左側がガラ空きになっているのを気にしたロンダがやや左に寄る場面もあったが、自分のボード、モニター、そしてマイクは中央やや左寄りなので、そんなにしょっちゅう離れるわけにもいかない。そしてベックはエフェクターを踏む時だけ左に行くものの、踏むや否やすぐに右側に戻ってしまう。まるで「右側だけライブハウス」状態だ。しかし思い起こせば2005年の来日時、中央にセットされていた時には不機嫌且つ不調だった。少々不自然でも、ベックにとっては楽しく演奏できるステージ・レイアウトなのだろう。


          ツアー最終日の大阪フェスティバル・ホールは2階ほぼ最後列という位置だったが、バランスのよい音響で聴くことに集中できた。5列目ではマーシャルの生音が大きすぎて、ドラムやサポート・ギターの音がよく聞こえなかったのだ。セットリストは「ザ・パンプ」、「ブルー・ウインド」の2曲が外れ、かわりに新曲が加わった。これらもおそらく近々完成の新作収録曲なのだろう。印象に残ったのはヘヴィーなリフ〜中近東風メロ〜プログレッシブな展開の楽曲だった。

          しかし何と言ってもに自分にとってのハイライトは、両日ともアンコールの頭だ。ベック一人ステージに登場し8分のベースラインをキープしながら弾かれたGの3コードのちょっとしたアドリブ・ソロだ。60年代〜70年代にはお約束だった「じゃじゃ馬億万長者のテーマ」もやらないかと期待したが、そこまでは至らずにすかさず「ローリン・アンド・タンブリン」になった。途中ロンダ・スミスのボーカル(歌詞はないのでスキャットか)も加わり大いに盛り上がった。


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          2013.11.17 Sunday

          ポール・マッカートニー大阪公演 2013年11月12日@大阪・京セラドーム

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            今回のマッカートニー大阪公演は当初からヤキモキさせられてばかりだった。

            まず、最初に今回の来日が公表された際、東京、福岡の日程は発表になったものの、どういうわけか大阪だけ未定だった。それから暫くして、日程が12日と発表されたが、会場未定・チケットの発売も未定と言う状況だった。マッカートニーならスタジアム以外に考えられないのに、会場未定とは一体どういうことだ。ドームがダメなら甲子園で開催するとでも言うのだろうか。まさか悪天候で中止なんてことになったら、プロモーターの損失は巨額なものになるだろう。だからそれはあり得ない。もしも大阪城ホールで開催されたら、チケットはかなり高くなるに違いない。ドームに比べるとキャパは4分の1程度なのだ。チケットが4倍になってもおかしくない。

            もしかしたらこのまま大阪はなくなるのではと心配していたが、コンサートの約2ヶ月前になってやっと京セラ・ドームで開催されることが発表された。

            しかし、東京3日間に対し、大阪はたった1日である。最初から予想はしていたものの、チケット争奪戦はかなり厳しい戦いになりそうな様子だった。あちらこちらから先行予約抽選にハズレたという声が聞こえてきたからだ。ビートルズ・クラブ会員である友人・知人達でさえ不安な様子だったので、なんのコネもない自分が果たしてチケットを手に入れることができるのだろうか。

            チケットをとってくれると言ってくれた知人からも、ダメかも知れないといった声が聞こえてきたので、半ばあきらめかけていたその時である。チケット発売前々日にポール・マッカートニー・ドット・コムから一通のメールが届いた。それによると、メルマガ会員限定で先行販売するということなのだ。そして発売時間は幸いにも平日の夕方、そして自分はちょうど空いている時間帯だった。

            発売開始時刻30分前からパソコンの前に座り、アラームをセットして万全の体制でスタンバイした。そして時間キッカリにログインし、購入ボタンを押したところかなりの良席と思しき番号が表示された。有頂天で次に進もうとすると、どういうわけか時間切れでエラーと表示された。気を取り直し再度やり直したが同じ結果だった。きっとネット回線が混雑し、何らかの問題が起こっているに違いないと思ったが、ここでひるんでいてはいけないと思い、それから何十回とやり直してみたが結局ダメだった。そうこうするうちに良席はどんどんなくなっていった。

            そんなこんなで15分程過ぎた頃、ふとあることに思い当たった。以前マッカートニーのオフィシャルサイトからハイレゾ音源をダウンロードしようとしたところ、エラーで全くダメだったが、違うブラウザで試したら一発でダウンロードできたのだ。というわけで別ブラウザーからログインしたところ、案の定一発で成功したのだった。

            さて、喜んだものの待てどもチケットが届かない。コンサートの2週間前までにはチケットが届くとあったにもかかわらず、2週間はおろか10日前になっても届かないのだ。そこでカスタマー・サポートに連絡を取ったところ、既に日本向けに一括で発送済、日本の受け入れ先には届いているので近日中に届くだろうとの返事だった。もしコンサート3営業日前までに届かなかったら再度連絡をくれとのことだったので、そのまま待つことにした。

            だがしかし3日前になってもまだ届かない。先方からは万が一当日にチケットが届かなかった場合でも、何らかの方法で入場できるようには手配するとの返事だったが、さすがに不安になり、ネットで検索してみたところ、やはりみんな届いていないようだった。

            結局当日、ドームの専用ゲートにて、チケット購入時のメールのコピーと身分証明書を提示すれば、チケットと引き換えてくれるということになった。受付時間に現場に行くと、無事チケットとさらにお詫びにとツアーTシャツをくれた。気を揉んだがちょっと嬉しいプレゼントだった。



            さて、無事に席にたどりつくと、PA席の真ん前という予想以上の位置だった。開演20分前くらいからはステージ両サイドの大型スクリーンに色んな画像・イラストのコラージュが流れ、ビートルズ〜ソロ〜ウイングスの様々な音源がこちらもリミックス、マッシュアップされて流される。そしていよいよコンサートが始まった。

            曲目は、今年のブラジル、米国公演などのセットリストをいくつか見ていたので、特に驚くようなことはなかったが、それでもやはり嬉しかったのは「あの娘におせっかい(Listen What The Man Said)」、アナザー・デイ(Another Day)」といった、生では初めて聴く曲の数々だった。しかし圧巻だったのはビートルズの「ビーイング・ベネフィット・フォー・ザ・ミスター・カイト」だ。レノン節全開のあのぶっ飛んだ曲をやっていると聞いた時、一体マッカートニーはどうやるのだろうと疑問だったが、生で聴いてみると違和感など全くなかった。それどころか、まるでレノンが歌っているかのようにさえ聞こえてきたくらいだ。

            終盤の「007死ぬのは奴らだ」ではお約束の派手な火柱が上がり、こちらまで熱が伝わってきた。しかし、曲が終わってさらにもう一回大音響とともに火柱が上がった時は予定外だったのか、ポールも少し驚いて怒っているように見えた。耳を塞いで「(今はダメだ!)」と言ってるかのようにスタッフの方を見て口を動かしていたからだ。もしかするとそれも演出の一つだったのかも知れないが、曲が終わって静かになった瞬間にドカーンといったものだから、ステージにいたポールは一瞬耳が聞こえなくなったのかも知れない。

            しかし、そんな心配をよそに本編ラストの「ヘイ・ジュード」に突入。そしてアンコール一曲目は「デイ・トリッパー」だ。今年春だったか、ツアーにあたり今でもチャレンジを続けている一つの例として、ビートルズ時代も含めて一度もライブでやったことのないこの曲について語っていた。そう、あのリフを弾きながら歌うのはなかなか難しいはずである。しかし、危なっかしいことなど全くなく余裕で演奏しきったのだ。

            それにしても71歳にしてアンコールも含めて計37曲、もちろん全曲歌い、全曲でギター、ベース、ピアノのいずれかを担当し、途中休憩もせず2時間半のステージをやり切るというのは相当元気な証拠だ。自分もあと2,30年はいけるなと勇気づけられたコンサートだった。


            チケット未着なのに追加公演のチラシが自宅ポストに投函されていた


            会場付近でバスを降りると宣伝車が横切っていった


            チケット遅配のお詫びにもらったツアーTシャツ


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            2013.10.03 Thursday

            アンディ・フェアウェザー・ロウ ‐2013年9月28日 コットンクラブ東京

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              以前紹介したアンディ・フェアウェザー・ロウのギグに行ってきた。当初自分は9月下旬〜10月にかけてZUM南米ツアーを予定していたので行けないものとあきらめていたが、幸か不幸かツアーが延期となったため、すかさずコットンクラブでの4日間8公演のうち最終公演を予約したのだった。

              さて、オープニングはアコースティック・ギターを抱えて一人で登場し、「初めて来日した22年前はこんなことをやっていた。」とビートルズの「ヒア・カムズ・ザ・サン」のさわりを弾いた。そう、彼の初来日は1991年、ジョージ・ハリソンのバック・バンドの一員としてだったからだ。さらに「その次はこんなことをしに来た。」と「レイラ」のイントロを弾いてみせた。その翌年にはエリック・クラプトン・バンドの一員として来日したのだった。 「さらには2002年にはこんな風だった。」とピンク・フロイドの「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウオール・パート2」のイントロを弾いた。ロジャー・ウオーターズ・バンドのメンバーでやって来たからだ。そして今回が自分名義では初来日であることを告げた。

              ラグタイム調の曲をソロで弾き語ると、バンド・メンバーをステージに呼び込んだ。編成はベース、ドラムス、サックスを加えた4人。アンディはアコースティックとエレクトリック・ギターを持ち替え、サックスはテナー、アルト、そしてベーシストも基本エレベだが一曲はエレクトリック・アップライト・ベースに持ちかえる場面もあった。

              アコースティックではラグタイム調、カントリー・ブルースのフィンガー・ピッキング、そしてエレクトリックではアンプを過激に歪ませたワイルドなトーンをフラット・ピックを使ったり、ピックを放り投げて指で弾いたりしていた。色んなスタイルを弾き分けるが彼は本当に巧い。大抵サポート・ミュージシャンは主役より巧いものだが、彼の場合はもちろんそうだ。他人のバック・バンドとしてのライブでは目立たないサポート・ミュージシャンに徹し、めったにギター・ソロを披露することもない彼が、この日は伸び伸びと弾きまくってくれたのが本当に嬉しかった。

              ステージではユーモアの利いたMCでも楽しませてくれた。オープニングの自己紹介もそうだったが、曲間では「A&Mから3枚のソロ・アルバムを出したが、76年にアルバムを出した頃にレーベルはピストルズと契約した。それからというもの、我々にとっては悪夢の日々だったね。」と言ったり、「昔からジミー・リードみたいに弾きたいと思って練習を続けているが、いまだに弾けないよ。」と言った具合である。

              セットリストは、これまでに出されたソロ・アルバムの楽曲に様々なカバー曲をおりまぜた内容だった。カバーで印象的だったのは、ちょっとマニアックなビートルズの「アイル・ゲット・ユー」、そして「64年頃は親の居ぬ間にこっそりこんな曲を練習していた。」と紹介して始めたストーンズ・バージョンの「ルート66」。ギター・ソロはもちろん完コピだ。

              しかし何と言ってもこの日のハイライトは本編ラストの「ギター・インスト・セクション」だった。まず「ピーター・ガンのテーマ」、続いてシャドウズの「アパッチ」、そして最後はフレディ・キング(それともブルース・ブレイカーズ&クラプトン・バージョンと言ういうべきか?)の「ハイダウェイ」。おそらく彼が最も影響を受けたであろうギター曲で否応なく盛り上がった。

              そしてアンコールは彼にとって最大のヒット、エイメン・コーナーの「ハーフ・アズ・ナイス」で締めくくった。

              終演後はこういった小クラブでのお約束、物販コーナーでのサイン会が行われた。発売したばかりの新CDが出ていたので早速購入、そしてしっかりサインをもらった。サインしてもらっている間「この日を21年待ちわびていました。ジョージ・ハリソンのコンサートであなたが弾いたソロに完全にぶっ飛ばされました。また是非来て下さい!」と言うと、「そうか、ありがとう。それなら次回までまた21年待っていてくれ!」と最後まで素敵な冗談で応えてくれた。






              発売になったばかりの新作CD


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              2013.06.25 Tuesday

              ライブ三昧

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                この一週間で4本のライブに足を運んだ。ここ数年、こまめにライブに行くようにしてはいるものの、これは中々の快挙だ。


                ●6月18日(火):グレッグ・レイク@ミューズ大阪

                「ソング・オブ・ア・ライフタイム(生涯の歌)」ツアーということだったが、当初行くべきか躊躇した。というのも、調べてみるとバックバンドなしのソロ弾き語り、それもカラオケを用いてということだったのだ。それでも決心したのは、ELPはおろか、グレッグ・レイクを生で一度も見たことがなかったのが大きな理由である。昨今は自分にとってのロック・スターが突然亡くなっていく。彼に限ってそういうことはあるまいとタカをくくっていると後悔することがしばしばなのだ。しかも今回は小さなハコである。ということで行くことに決めた。

                会場に着くと、キング・クリムゾン「ムーンチャイルド」の後半インプロ部分がかかっていた。しかもエンドレスでリピート再生なのだ。「宮殿」はおそらくこれまでに数百回は聴いたと思うが、それでもこれだけ取り出して延々1時間20分、すなわち10回くらい連続で聴いたのはもちろん初めてのことだ。定刻を20分以上過ぎ、客電が落ちると何やら今風のラップ/ヒップ・ホップ系の音楽が流れた。このオッサン何を無理して・・・と思いきや、実は「21世紀の精神異常者」をサンプリングしたことで少し前、一部で話題になったカニエ・ウエストの曲だった。

                そして「宮殿」の楽曲、ELPの有名曲が次々にカラオケをバックに披露されていく。もちろん2曲だけ一切カラオケなしでやってくれたので、そちらの方が遥かに良かったのは言うまでもない。

                しかし、このライブのキモは曲間に挟まれるお喋りなのだ。実は彼は今、今年中に出版予定の自伝を執筆中らしく、その際に思い出した、曲にまつわる様々なエピソードの一部を披露するのだ。例えば、「クリムゾンは本当にヘンテコなバンドだった。マイケル・ジャイルズはピシッとスーツに髭の英国紳士風、マクドナルドは軍隊のバンド出身でロック・バンドは全くの初めてで、なんにもロック界のことを知らない、シンフィールドはサーカス一座で育った風変わりなヤツだった。」とか、「ELP初期に米国ツアーを行った時のこと、オフでプレスリーのショーをカジノへ見に行った。『ツァラトゥストラはかく語りき』が流れて幕が開くと後ろ向きのエルヴィスが立っているんだ。そして監獄ロックのイントロが始まりいよいよ歌になるという所で彼が振り向いたんだ。するとまわりの女性数名が気絶してしまった。」や、「ロバート・フリップとオレは同じギターの先生に習っていた。アンディ・サマーズもそうだったな。だからクリムゾンに呼ばれた時、ロバートが弾いていることは全て分かったよ。」といった調子である。

                もちろん、クリムゾンの名曲がオリジナルのあの声で歌われるのは格別だった。


                ●6月21日(金):フェルナンド・カブサッキ、サイコババ、Guitar Borchestra、UA@神戸Cafe Fish!

                今回はフェルナンドにとって、25日間に23本のギグというこれまでで最長最多の日本ツアーだったのだが、日程の都合がつかず自分は結局この一本だけ足を運んだ。会場はずいぶん前にガジェットで出たこともある、ガラス張りが印象的なメリケン・パーク内のお洒落な場所だ。4組の出演者トップが彼だった。この日はソロ・パフォーマンスということで、ループを駆使したインプロヴィゼーションが繰り広げられる。どんな場面でもそうだが、この日も彼は非常に安定した演奏を聴かせてくれた。イベントのため彼の持ち時間がわずか40分程度だったのが惜しまれる。終演後、彼と少し話したところ、「いざ音を出したら会場の響きのせいか、返ってきた音が最悪でテンションが上がらなかった。」とのことだったが、そんな悪条件をはね退ける程の良い内容だった。そしてアンコールの全員セッションは彼も本領発揮して素晴らしかった。当初UAのセクションにも入る予定だったらしいが、多忙でリハーサルが不可能だったため見送ったらしい。一緒にやっていればさぞ良かったに違いない。


                ●6月23日(日):キャメルチェアー@2ND Line

                期待の若手バンドが先頃新作CDを発売、自分はそのレコ発ツアー最終日に行ってきた。しかし驚いたことにライブから数週間前、このライブをもってバンド解散が発表されたのだ。

                実はこのバンドのギタリスト、ソングライター、シンガーである寺本尚平君は、彼の小学生時代から知っており、その後ロックに興味を持ち始めてギターをやるようになり、しばしば自分のアパートに訪ねてくるようになったのだった。それからしばらくして大阪芸大の特待生で入学したのだが、その推薦入試時に提出したオリジナルのインスト楽曲を聴かせてもらったところ、完全にノックアウトされてしまった。「この若さでこのマニアックさ、そしてオリジナリティーは一体何なのだ!」と衝撃を受けたのだった。それもそのはず、高校時代の彼はスティーヴ・ヴァイに影響を受けていたので、我が家を訪れる度にフランク・ザッパのCDを借りていったのだった。

                そして大学生になりバンドに入ったという話を聞いたが、実のところ当時はそれほど魅力を感じなかった。しかし、それから何年も経ち彼らの音源を聴いたところ、非常に完成度が高くヒネリも利いており、さらにシンセ的な音も全てギター・エフェクトのみでまかなうという気概にも惚れ込んでしまった。一聴するとノリのいいポップでファンキーなロック的楽曲だが、色んな仕掛け満載で唸らせられたのだった。元々自分は、自分と同じ世代またはそれ以上の世代が作る音楽にしか魅力を感じないのだが、彼らは数少ない例外のひとつだった、

                もちろんこの日のライブも素晴らしく、全てを出し切った感じで後腐れのないすがすがしい最後のギグだった。どういう事情で解散に至ったのかは知らないが、状況が許すならいつかまた再結成して欲しいと願う。


                ●6月24日(月):ヴァン・ヘイレン@大阪市中央体育館

                ライブ三昧の締めくくりはヴァン・ヘイレンである。数年前、デイヴ・リー・ロスが復帰しツアーを開始というニュースを聞いて以来、もし日本に来たら行くぞと決めていたので先行予約でチケットを手に入れた。しかしエディが一歩間違えたら死んでいたというショッキングな事件により来日が延期され、もしかしたらこのまま中止かと心配していたのだが無事来日した。

                コンサートはほぼ定刻に開演、2時間キッカリのアンコールなし、さらに写真撮影もOKという最近のロック・コンサートでは異例の内容だった。心配されたエディも全く問題なく、最高の演奏を聴かせてくれた。終盤ではお約束のギター・ソロ「暗闇の爆撃」〜「スパニッシュ・フライ」〜「大聖堂」〜「暗闇の爆撃」で観客の熱い視線を浴びていた。しかし今時、セットリストの最後から3番目に10分ものギターソロをやってのけて盛り下げないというのは彼くらいのものだろう。

                しかし、今回のコンサートでの最大の功労者は何と言っても復帰したデイヴ・リー・ロスである。昨年暮れごろか「日本にアパートを借りて滞在している説」が流れていたが、どうやら本当だったようだ。途中やたら日本語のMCを挟み、「ミンナ、イマ、ナニヲカンガエテイル?」と叫んだりするのだが、逆に何を言っているのかさっぱり聞き取れない方が多かった。英語でも意味不明な叫びが多いから、ここはあまり深く考えずに爆笑するべきところなのだろう。

                極めつけは曲中に突然、「…イシノウエニモ、サンネーン!」と叫んでいたことだ。ドリフのソウル早口言葉ならぬ、デイヴのロックで日本のことわざ連発か。


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                2012.09.22 Saturday

                夏の思い出〜ビーチ・ボーイズ来日公演2012

                0
                  そもそも自分は夏が苦手だ。これは子供の頃からそうだった。寒ければ厚着すれば何とかなるが、暑いと裸になってもまだ脱ぎ足りないぐらいだ。とにかく暑いのはダメなのだ。

                  小学校時代、町内のソフトボール・チームに入ったが、真夏の練習は辛かった。そんなある日、練習を終えて帰宅すると、笑いながら弟がやって来てこう言った。「広場に見に行ったらすぐわかったわ。守備のうち一人だけ顔が真っ赤っかやったわ!」
                  まさか遠くから見てすぐにわかるほど赤いとは想像もしなかったが、本当に暑くてたまらず、ゆでだこにでもなった気分だった。その数年後水泳部に入ったのは、元々球技が苦手だったこともあるが、それよりも暑がりだったことの方が大きい。


                  夏は嫌いだが、夏の終わりの物悲しい感じは好きだ。まばらな海水浴場、つくつくぼうし、夕立ち、身がサラサラになったスイカ、早くなった日没、こおろぎ・・・。


                  今年の夏はビーチ・ボーイズの来日公演に足を運んだ。70歳前後というのに元気なオリジナル&準オリジナル・メンバー達に加え、演奏に歌に完璧なバック・バンドも素晴らしかった。さらに今は亡き二人のメンバーも、過去の映像・歌声を現バンドの演奏に同期させて登場するなど、印象的なコンサートだったが、実は一番グッと来たのはライブそのものではなく、終演後の「客出し」BGMに使われた一曲、'Summer Means New Love' だった。この曲は一昔前のエレキ・インストといった風情なのだが、一般的なサーフ・インストとは趣が異なる。タイトルを直訳すれば「夏は新しい恋の季節」といったところだが、この曲はどちらかというと夏の終わりの物悲しい感じで、「過ぎ去りし恋の思い出」とでもした方がしっくりくる。

                  そういえば、今回のコンサートでは演奏されなかったが、今年出た新作 'That's Why God Made The Radio' には「過ぎ行く夏」という曲が収録されていた。この曲も含めて、このアルバムは過ぎ去っていく夏、友、家族、そして人生のはかなさを喚起させる。そして主題はあくまでも「夏」なのだが、真昼というよりは夕暮れ時という雰囲気で、なんとなく物悲しい。

                  まるでこれが最後の作品、あるいは遺書であるかのようでもある。今風の音作り、完璧に作りこんだプロダクションは最初馴染めなかったのだが、何度か繰り返し聴いているうちにそう感じるようになり、それからはこの夏の愛聴盤になった。この調子でまだまだ作り続けて欲しい。

                  2012.06.25 Monday

                  UK大阪公演 2012年6月19日

                  0

                    UKのデビューは自分が音楽に目覚めて間もない1977年頃だったと思うが、実際にその音を聴いたのはそれから3年ほど経ち、解散した後のことだった。何度も聴いてはみたものの、それほど夢中になることもなかった。

                    しかし今回、エディ・ジョブソン、ジョン・ウェットン、テリー・ボジオのトリオで再結成・来日ということで、この機会を逃すと次はないだろうという危機感、そして3人とも自分が夢中になったバンドに参加してきた「歴戦の勇士」だったこともあり、公演が決定したその日に即(チケットが取れたら)行くことに決めたのだった。そして運よくチケットも手に入れることができ、この日を楽しみにしていた。

                    だが当日は季節はずれの台風が大阪を直撃しそうな状況だったので、中止になるだろうと半ばあきらめていた。しかし夕方にサイトをチェックしたところ、嬉しいことに予定通り開催とあった。少し早かったが雨風が少しおさまっていたので、会場のある難波に向かうことにした。

                    開場の1時間以上前には難波に到着したので、時間潰しにいろいろ見て回ろうと思ったが、どこもかしこも台風の影響で早じまいしている。少し不安になったものの、軽く食事を済ませ、会場であるなんばハッチに到着すると大勢の中年達が集結しているではないか。皆「アメニモマケズ、カゼニモ・・・」やってきたわけだ。

                    開演前にトイレに行くと、大学時代のバンド仲間にバッタリ出会った。20数年ぶりの再会である。彼が来るのはSNSで知っていたので、何となく会えるのではないかと思っていたが、まさかトイレで会おうとは想像もしなかった。

                    さて、開演までステージには幕が降りたままである。この手のライブではミュージシャンがどんな機材を使っているのかチェックするのも楽しみの一つだが、これでは全く見ることが出来ない。

                    開演時刻も過ぎ、BGMが途切れた時、どこからともなくUKコールが沸き起こった。サウンドマンも気を利かせてBGMを止め、そこらじゅうからUKコールが起こるにまかせていた。

                    そして遂に幕が開き、「おおーっ!」と歓声が沸き起こった。下手にはキーボードがシンプルにセッティングされ、中央にはベース・アンプ、そして上手には巨大なドラム・セットが組まれている。ツイン・バスどころか6バスくらいはある。360°コックピットのようにタム、シンバル類、その他パーカッションが並べられた様は写真や映像では見たことがあったものの、やはり実物を見ると圧巻である。

                    そしてエディ・ジョブソンが登場し、シンセの重低音が場内に轟きわたった。そう、「アラスカ」のイントロである。ボジオ、ウェットンも登場し本編に突入した。

                    ボジオを見るのは89年のジェフ・ベック来日公演以来だが、その時のボジオはかなり抑えた演奏で面白くなかった。しかし今回はフルセットで、そして自身が参加していたバンドでの演奏ということもあり、本領発揮である。

                    そして最も驚いたのは、ウェットンの好調振りである。彼を見るのもスティーヴ・ハケット&フレンズ以来なので、もう20年振りくらいなのだ。その時は日本ツアーだけのプロジェクトだったからかも知れないが、残念なことに音程は甘く、声もあまり出ていなかった。しかし今回は声量も表現力も申し分なく、往年のウェットン節が炸裂である。数年前に大きな手術をしたという話を聞いたので、不安に思っていたのだが、昨年の春から3度も来日をするほどの好調振りである(この9月にはエイジアとして来日!)。

                    さらにジョブソンも良かった。彼を見るのは初めてだったのだが、アナログ・シンセ系、オルガンを中心としたその音色の選び方が素晴らしい。またバイオリンの音色も昔からそうだったように甘いトーンで、エレクトリックでも耳に優しい音作りだった。

                    途中ジョブソンのキーボード&バイオリン・ソロがあり、さらにボジオのドラム・ソロでは巨大なセットを駆使し、打楽器というよりメロディ楽器のような演奏を聞かせてくれた。遠くて見えなかったのは残念だが、バス・ドラムでリフを奏で、その上で様々なパーカッション群を自由自在に操っていたようだ。

                    そして本編最後は「イン・ザ・デッド・オブ・ザ・ナイト〜プレスト・ヴィヴァーチェ〜バイ・ザ・ライト・オブ・ザ・デイ」とファーストA面メドレーで締めくくった。

                    最近、往年のバンドを見に行っても全盛期とは比べ物にならないくらい劣っているが、それでも「本物」を見れてよかったと自分を納得させて帰ることが多い。しかし今回は全員いまだ全盛期と言っていいくらいだった。

                    さらに嬉しかったのは、通常1階は立ち見のみのなんばハッチで、キャパが少なくなっても敢えて座席を並べてくれたプロモーターの配慮である。この手のコンサートで本編2時間+開演前1時間立ちっぱなしはつらい。昨年のイタリアン・プログレ・フェスの時もそうだったが、客層も40〜50代中心なのでこれは本当にありがたい配慮である。

                    今回は久しぶりに胸がスカッとする素晴らしいコンサートだった。

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                    2011.11.09 Wednesday

                    ゴブリン初来日公演 2011年11月5日

                    0
                      先日、川崎クラブチッタにて行われた「イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティヴァル」2日目を見てきた。もちろん目当てはゴブリンである。

                      会場は満員で入場するにも一苦労だった。フェス自体はPFM、オザンナも出演していたのだが、実はオザンナは全く知らない。そしてもちろんPFMも見たかったが、今回はゴブリンがメインの2日目を選んだのだった。

                      いざ会場に着くとこの日は完売らしい。しかし初日、2日目のゴブリンのセットリストは同じと書いてある。初めから分かっていれば初日にしてPFMも見たかった。しかし、この日出演のアルティ・エ・メスティエリもちょっと気になっていたので、まあよしと自分を納得させた。


                      トップのイル・バレット・ディ・ブロンゾ、2番手のアルテイ・エ・メスティエリに続き、いよいよこの日のトリ、ゴブリンの登場である。ホラー映画風のオープニング映像が流れ、そしてメンバーが現れた。一曲目が始まったと思ったら、いきなりのトラブルで一旦ストップしてやり直しになった。誰かのモニターが返っていなかったのだろうか。これは痛い。しかし仕切り直しで何事もなかったかのように一曲目が始まった。

                      2曲目は何と「紅い深淵(サスペリア2)」から「マッド・パペット」だ。しかしドラムの音がやたらベチベチのEQ、そして後半の演奏スタイルもヘヴィ・メタリックで原曲とはちょっとイメージが違う。しかしオリジナル・ギタリストのマッシモ・モランテがあのお馴染みのリフを弾いているだけで盛り上がってくる。さらにバックには映画のシーンなどを使った映像が写されている。そう、ドアが開いてあの人形が突然部屋に入ってくるシーンもだ。

                      その後「ローラー」からの数曲他をやった後、キーボードのクラウディオ・シモネッティがこう言った。
                      「さて、そろそろみんな歌いたくないか?次は一緒に歌おう!簡単な歌だ(MCはイタリア語ではなく英語だった)。」

                      歌入りと言えば「マークの幻想の旅」からやるのかと思ったら、マイクを持ったシモネッティがひそひそ囁くように歌う(というよりデス声か)。「ラーラーラーラーラーララー、ラーラーラーラーラララー・・・。ススペリア!ウイッチ、アー・・・」そう、サスペリアのテーマである。誰が一緒に歌うというのだ。当然バックの映像は、ジェシカ・ハーパー演ずるスージー・バニオンが例の寄宿舎を歩き回る場面だったり、友人のサラが殺害されるシーンだったり、そして「見えない」魔女が「見える」シーンだったりして、思わず視線はゴブリンよりもそっちに行ってしまう。

                      さらに「スリープレス」「ゾンビ」「フェノミナ」からの楽曲が続き、コンサートはまるでダリオ・アルジェント・ホラー・ベスト・ヒットの様相を呈してくる。

                      途中シモネッティのMCでは、「ついにゴブリンとして来日できて本当に嬉しい。残念ながらオリジナル・メンバーではないが、それでも5人中3人はそうだからいいだろう。」そう、ベース、ドラムはスキン・ヘッドな強面兄ちゃん達、フロントのキーボード2人とギターがオリジナル・メンバーだった。

                      そして荘厳なオルガンのイントロに続き、遂に「紅い深淵」テーマ曲が始まった。ギターのコーラス・エフェクトはちょっと余計だが、それでもオリジナルのマッシモが弾いているのだ。文句は言えまい。バックには映画のシーンに加え、昨年のスタジオ・ライブ映像(というより、元々このライブ映像に映画のシーンが挿入されていたのだが・・・)が流れるが、今回はゴブリンに集中するようにした。

                      演奏が終わると、大人しかった観客もさすがにスタンディング・オヴェイションで、メンバー全員がステージ中央に集まりこれに応える。これにて本編終了だったが、当然ながらアンコールに突入する。

                      アンコールが終了し、再びメンバーがステージ中央で礼をするが、観客の興奮はおさまらない。感極まったクラウディオは、何と客席に降りてきてファンと握手しだしたのだ。客席中央ぐらいまで行った後ステージに戻ったが、マッシモもこれに続いた。しかし彼は客席後方まで行ったかと思ったら、そのままいなくなってしまった。ステージ上に残されたメンバー達も舞台裏に引き上げようとしたが、あまりの盛り上がりに戻ってきてしまった。しかしマッシモの姿はない。ステージから彼に呼びかけるとやっとのことで姿を現した。そして「マッシモのために・・・」と、もう一曲「ローラー」から披露して初来日公演2日目を締めくくったのだった。



                      (昨年のリハーサル映像に映画のシーンを組み合わせたもの。今回のギグで流れたものと同じだろう。)
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